北アルプス南部(燕岳〜蝶ヶ岳縦走)

期日:2012年9月14日(金)〜16日(日)

ケン


行程:
9月14日 中房温泉6:30〜燕岳11:10〜大天荘14:35
9月15日 大天荘6:05〜常念岳10:20〜蝶槍13:30〜蝶ヶ岳ヒュッテ14:30
9月16日 蝶ヶ岳ヒュッテ7:00〜徳沢園9:10〜上高地10:40


 

ケン



<9月14日(金) 1日目>
プリウスの中で会社のボスと隣り合わせに座って、小言を言われている。そんな夢を見ている時に中房温泉到着のアナウンスを受けた。有給を使っての山行に罪悪感を
持ってはいたが、幸先の悪いスタートこの上ない。
今回、当初は村山先輩とご一緒する方向で計画を調整したが、バスの予約が合わず、個人山行に。責任全部自分持ちということで、重い荷物に慣れるため、フィルムカ
メラやら三脚やらを装備に含めて総重量22.5kgで出発する。天気は晴れ。3連休前日ではあったが、思ったよりも登山者は多い。荷物の重みもあり、のんびりと
合戦尾根を登る。2時間半ほどで合戦小屋に到着。名物のスイカを見つけるも800円という値段に躊躇。なにより冷やしていない切り分けスイカが並んでおり、魅力
をそがれる。燕山荘に着いたら自分にご褒美をと言い聞かせて、先へと進む。
燕山荘に着くころには、曇り空になっていて、見晴らしは悪い。荷物を燕山荘にデポして軽身で燕岳へ。軽快に山頂にたどり着くことができたが、左足首に軽い違和感
を覚える。
燕岳登頂を祝い、燕山荘で軽く軽食をいただく。イチゴ・ブルーベリーのケーキとコーヒーのセット。ケーキのスポンジにもブルーベリーが交ぜられていて、最初から
最後までベリー感を味わうことができた。その他には、レアチーズケーキなど3種のケーキを取り揃えていた。そういえば、昨年、同系列のヒュッテ大槍でウェルカム
ワインをいただいた事を思い出した。山小屋でこんなこじゃれたものをいただけるなんて、恐るべし燕山荘グループ。
次回は別のケーキを食ってやると心に誓いつつ、本日のテント場の大天荘を目指す。天気は曇りで、眺望はまったく駄目であまり気乗りがしなかった。テンションの低
下とともに、左足首に痛みが出てくる。歩けないほどではないが、地面に着く足の角度によっては、強い痛みが。そんな痛みに耐えつつ、なんとか大天荘テント場にた
どり着く。テント泊手続きを済ませ、お茶を飲みながら読書。天候は全く変わらない。夕食を食べ終えてのんびりしていると雨が降り出し、風も強くなる。深夜に雨は
止んだが、一晩中風の音がうるさかった。

<9月15日(土) 2日目>
翌朝も風は強く、視界は悪かった。雨が降っていないのが唯一の救いだ。早々にテントを仕舞い、軽く大天井岳までピストンした後に出発。まずは常念岳を目指す。相
変わらず左足首は痛い。2時間ほどで常念小屋に到着。朝の8時半で迷惑とは思いつつブルーベリーミックスのソフトクリームをいただく。
20分ほどの休憩の後、目の前の常念岳へ出発。円錐形のきれいな山。道は九十九折に長々と続く。足の痛みも手伝い、かなりきつかった。えっちらおっちらなんとか
頂上に到着し、しばし山頂からの景色を楽しむ。遠くの山々は、麓は見えるものの山頂は雲に隠れている。
ここから先が地獄であった。左足をかばって歩いていたので、右足も消耗が激しく、コースタイムをオーバーしながらの行程になる。いくつかのパーティーに追い抜か
れた。休憩のたびに水を飲んでリフレッシュし、先へと進む気力を養う。雲と雲の間から、蝶ヶ岳のテント場が見えた時には、正直かなりほっとした。
テント場に着くと、すでに先客でテントがいっぱいだったが、傾斜のある場所になんとかテントを張る。連休初日で、次々に登山者は登ってくる。この日、蝶ヶ岳小屋
は定員を超え、従業員の方たちはてんやわんやで動き回っていた。
テントの中でひと段落しつつ、左足を確認。登山靴を脱ぐと左足首の痛みも和らいだ。いろいろと触って痛みの具合を確認してみると、どうやら登山靴があたっている
部分に問題があるらしい。そういえば、現在愛用している登山靴も、当初の履きはじめの時に足首が痛くなって難儀した記憶があることをふつふつと思いだした。スト
レッチをして翌日に備えた後、眠りに落ちた。

<9月16日(日) 3日目>
最終日、風は少し強かったが、天気は快晴。テント場にてご来光を待つ。周りには多くの登山者。テント場一同の気持ちが一体となる。ご来光が現れた時、周りから嘆
息が漏れる。今回の山行ではフィルムカメラや三脚を持ち込んでいたが、初日、2日目には全く使う機会はなかった。途中何度この三脚を捨ててやると思ったことか。
3日目にしてようやく苦労が報われた。ご来光を見た後、西側へ移動し、穂高・槍を一望する。こちらもこの3日間で最高の眺望。屏風岩はここ、前穂はここ、穂高と
槍を結ぶ大キレットはここと、その位置関係をはっきりと理解できた。昨年、奥・北穂と槍に登ったが、遠くから見る景色は最高で、さすが蝶ヶ岳。雪をかぶった穂高
・槍も見てみたいと思いつつ、帰路に着く。
昨日までの反省を踏まえて、左登山靴の上の方の紐を緩めに締めてみたが、昨日までの痛みが嘘のように和らぐ。快調に高度を下げ、無事徳沢園に到着することができ
た。初日・2日目は、天候的にも体調的にも最悪であったが、最終日は、天候も体調も最高。終わりよければすべてよし。
あまりの最高感のため、徳沢園では名物のソフトクリームをいただき、明神ではクランベリージュースをいただき、上高地で上高地ソフトをいただく。とまあ冷たいも
のを飲み食いしまくってしまったため、後ほど腹に来たことは言うまでもない。

<今回の山行のお供>
・丸山真男『「文明論之概略」を読む(上)』 (岩波新書)
※ 丸山真男の目を通して、福沢諭吉の名著『文明論之概略』の解釈・再構築がなされる、らしいが、疲れた体には、素敵な眠りをもたらしてくれる1冊・・・。 (
山行後に一応、上中下と何とか読み終えましたので、あしからず。)
燕岳の猿、モフモフ 縦走途中の槍
常念岳 素晴らしい展望ですね 穂高・モルゲンロート