甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳(冬合宿)

期日:2011年12月28日(水)〜2012年1月1日(日)

参加者:笹田(CL)、あつこ(SL)、カト(SL)、いた、sa山、部長、つりし、さぶ、ミナト、みどり、ほっしー


○12/28(晴)、先発隊:笹田、いた、sa山、部長、カト、つりし、さぶ
赤羽5:00−(つりし車)−9:00戸台9:30−15:00北沢駒仙小屋BC(幕営)

○12/29(晴)、先発隊:甲斐駒ケ岳
起床3:30、BC5:40−駒津峰8:30−直登ルート9:00−10:20甲斐駒ケ岳10:50−駒津 峰(巻道経由)11:50−双子山12:40−15:20北沢駒仙小屋BC(幕営)

○12/29(晴)、後発隊:あつこ、ミナト、みどり、ほっしー
新宿6:50−伊那市駅10:00−戸台11:00−16:10北沢駒仙小屋BC(幕営)

○12/30(晴)、仙丈ヶ岳:参加者全員
起床3:00−BC4:50−小仙丈ヶ岳−9:50仙丈ヶ岳10:00−13:00長衛荘14:00− 14:10北沢駒仙小屋BC(幕営)

○12/30(晴)、仙丈ヶ岳−30日下山組:つりし、さぶ
長衛荘まで上記に同じ、長衛荘13:30−18:30戸台−(つりし車)−23:30東京

○12/31(晴)、甲斐駒ケ岳:笹田CL、あつこSL、カトSL、、ミナト、みどり、ほっしー
起床3:00−BC5:00−仙水峠6:20−駒津峰8:20−直登ルート9:00−10:10甲斐駒ケ 岳10:20−駒津峰(巻道経由)11:00−双子山11:40−14:20北沢駒仙小屋BC(幕営)

○12/31(晴)、31日下山組:いた、sa山、部長
BC−戸台−(sa山車)−伊那市駅−新宿

○1/1(晴)、1日下山組:笹田CL、あつこSL、カトSL、、ミナト、みどり、ほっしー
BC7:20−11:50戸台12:20−(タクシー)−伊那市BT14:25−18:00新宿

          
 

冬合宿 甲斐駒・仙丈(先発組)
さぶ

12/28
 冬合宿初参加、しかも、冬期に3000メートルを越す山に登るのも初めてということもあ り、緊張の心持で、5時赤羽駅に集合しました。つりし殿が車を出してくれたおかげで先 発隊は快適アクセスでした。実は、前日バタバタと用意に追われ、ほぼ完徹状態だったた め、先輩方の談笑がここちよい子守唄に聞こえてくるではありませんか。。運転している つりしさんには申し訳ないですが、車中でしばし夢の中へ。。。諏訪湖SAでsa山さんと合 流。sa山さんは車中前夜泊。一人宴会されていた模様。9:30橋本山荘駐車場にて身支度 後、出発。無風。快晴。雪はまったくなし。。。
 「さぶちゃん、先いけば〜」という笹田リーダーの好意により、先頭をいかせてもらうも、 目の前に見える甲斐駒ヶ岳にさそわれ、さっそく道を踏み外してしまう。。。初めは広い 河原歩き、あちこちに、ピンクのテープが張ってあり、どのルート行けばいいのか迷いま す。途中、石堤の前で河を左岸から右岸に渡渉。ここで、石を川に投げ込み足場をつくっ てから渡るすべを教わります。最初、冗談かと思いました。すみません。
 13:00赤河原分岐、八丁坂の急勾配を登り、15:00太平山荘に到着。少しまた登り長衛山 荘から先、ここで最後の試練がありました。林道が凍結してアイスバーンになっているじ ゃないですか。そのままアイゼンなしで、林道をはずし高巻きをして、やりすごし、横切 れそうな場所をみつけ、林道を下ります。
 15:40駒仙小屋に到着。ジャンボテントを設営し、カトさんお手製のピンクの北稜の旗を ゾンデ棒にくくりつけ、目印にします。水は川から汲めるとのこと。融雪しないでよいの はありがたい限りです。sa山さんが持参し、つりし殿がかつぎあげてくれた、入山祝いの ビールで乾杯し部長のキムチ鍋を堪能。本当に美味しく、うっかり食べ過ぎてしまいまし た。山でのダイエットはあきらめた方がよさそうです。
 ここで、隣のテントの単独で来ていた関西の男性が聞きたいことがあるとテントへ。明日、 鋸山に行きたいとのこと。ロープがないと一部難しいところがあると、いたさん、sa山さ んのアドバイスによりあきらめておられました。しばし、一緒に談笑。山での交流は暖か いものがあります。明日は晴れるでしょうか。。。
 sa山さんと私が一緒にいると山が荒れるというジンクスを心配しながら眠りにつきます。

長い長い河原歩き 駒仙小屋のテン場

12/29
 晴れ。無風。ジンクス崩れたり!!
 3時30分起床。朝ごはんにいたさんの野菜もちラーメンを頂きます。5:15分出発。この 日は、最初からアイゼンをつけ。満点の星空の中、ヘッドランプの灯りをたよりに歩きま す。時折り、部長が「あげぽよ〜」と奇声を上げて、盛り上げてくれます。どうやら、勤 務先の学校の生徒から教えてもらったとのこと。仙水山荘で湧き水を少し頂き、駒津峰経 由で山頂をめざします。やがて空が白んできます。背後には北岳、あした登る仙丈ヶ岳も 白い姿を現します。最後の頂上への登りは、摩利支天側の巻き道を行く事になりそうでし たがsa山さんの「巻き道は30分タイムが長いぞ」と私の「アイゼントレしたい」という要 望をリーダーが快諾してくれて直登コースを行きました。せっかくなので、細かいスタン スにアイゼンの前歯で乗る練習をしてみました。最後はトップを登っていたカトSLが先頭 を甲斐駒初登頂のつりし殿と私に譲ってくれます。この心遣いがとってもうれしかったで す。2人で手をつないで登頂&かわいらしく?ハグをしたつもりが「上手をとられた」と つりし殿から苦情が。相撲取りか。。。
 甲斐駒の頂上は無風。周囲の山が一望。本当にいい天気でした。雨男、雨女の汚名はこれ で雪げたはず。下山は巻き道ルート→双子山経由、尾根筋をいきます。巻き道を歩いてい ると直登ルートに人影が。昨日の関西の山岳会の方でしょう。ピッケルを振ると、あちら も手をふりかえしてくれました。彼はこの後、摩利支天までいったそうです。しかし雪の ない道にアイゼンで下りるのが膝に堪え、途中、遅れる私に、笹田リーダーがストックを 貸してくださいました。これで随分楽になり、なんとか下山。長衛山荘でそばを頂きまし た。
 本当は、つりし殿と2人で後発部隊のサポートに行く予定でしたが、私の状態をみて、笹 田リーダーが代わりに行ってくれることに。。。申し訳ないです。。。下山で膝にくるの は、足回りの筋力が落ちているせいもあるかと。あとは体重の増加ですね。。。鍛えなお さないといけないと思う次第でした。
 後発部隊は脅威のスピードで登ってきたようで、予想よりずっと早く到着。毎回思います が、山で仲間と会うのはうれしい事です。本当はあったかいお茶でも沸かしてご飯もつく って待ってよう。。。なんて思っていましたが小屋番の人にテントを移動するように言わ れてしまい、おおわらわ。。。後発隊用の4.5テンの設営を手伝い、全員でジャンボテ ントにつまって宴会です。
 この日の給食当番は私、メニューはカレー鍋。11人分の料理は難しい。。。小屋で買い 足したビールと、カトさんのホットワイン、sa山さんの日本酒で乾杯。この面子だとお酒 には不自由しないようです。山で皆で飲む酒は格別。。。笹田リーダーがベーコンを切っ てくださる。あぶった肉が胃袋に沁みます。みどりさんは、なんと塩辛を!!一同沸きます。 いや、本当においしかったです。そうこうすると、嵐を呼ぶ男、桶川のユージローことミ ナトさんの威力かさらに雪がしんしんと降ってきます。さすが期待を裏切らない御仁です。 sa山さん、ミナトさん、さぶの三人がそろうと毎回天気が荒れるという連続記録はまだ破 られておりません。わらび山ではその山頂だけ雨が降るというイリュージョンを起こした 三人ですから。またも、明日の天気を不安に思いながら眠りにつきました。

駒津峰からの甲斐駒 直登コースはなかなか急です
つりしさんの上手を取るさぶちゃん 無風の甲斐駒の頂上。すばらしい景色です

12/30
 3:00起床。朝ごはんはソーメン。大失敗。麺が固まる+しょっぱかった。すみません。 とりあえず、まずい朝ごはんを腹にしまって、今日は仙丈ヶ岳へ。つりし殿と私は本日下 山予定なのだが、天候や雪の状況が許せば、登頂したいとリーダーに事前に打診していた のでした。
 朝は小雪がちらつきますが、空は満点の星空。リーダーが9時半の時点で状況判断し、無 理と思ったら、2人は下山するようにと指示をうけます。私の膝もなんとかよさそうです。 荷物を長衛山荘にデポして、アタックザックになり、仙丈ヶ岳をめざします。先頭はあつ こSL。心地よいペースで高度を上げてくれます。
 昨日より雪もあり、アイゼンの歩行も楽な道でした。やがて雪もやみ、空が白んできます。 モルゲンロートの甲斐駒を見て、赤い木漏れ日の中、さらに上をめざします。稜線に出る と昨日とはうって変わった強風です。先輩方には、このくらいの風はそよ風に感じるよう ですが、慣れない私には、つらい横風。。。天気は良いのですが、稜線の風はつめたく、 体温をどんどん奪っていきます。指先がじんじんと痛みはじめます。
小仙丈ヶ岳の時点で9時半をたしか回っていたと思われます。(記憶が曖昧)何度も時計 をみる私。。。行きたい気持ちと、タイムアップ。戻ったほうがいいのではという思いが 混じります。
 風の強い稜線から、仙丈ケ岳の頂きは美しく、しかし、随分遠くに見えます。長衛荘から の下山時間を5時間みたとして、お昼には小屋にいないと真っ暗な河原を歩くことになる からです。笹田リーダーに最後のお伺いをたてます。「いっちゃえば〜」とほがらかに言 ってくださいました。この言葉に背中をおされて、腹を決めます。
 時おり耐風姿勢をとりながら、稜線をあがります。思ったより頂上は近いようです。笹田 リーダーに後で聞きましたが、人の大きさを見て距離が分かるとのこと。
 10時前になんとか登頂!11人全員で頂きを踏めたことは本当にうれしいかったです。 ミナトさんに謝罪を。ごめんなさい。雨男扱いして。すばらしい天気でした。部長が北稜 の旗をもってきてくれて、旗をひろげ全員で撮影。少し、お腹にエネルギーを入れて、さ っそく下山。下山では、やはりストックが有効でした。
 長衛荘で部長にうどんとおそばをご馳走になり、みんなに別れをつげつりし殿と2人で下 山開始。13時半ごろでしょうか。この時に、笹田リーダーが「こっから、リーダー頼むよ」 とつりしさんの肩をたたきます。

仙丈ケ岳のカールが美しいですね 11人で無事登頂!

 ここからは時間との勝負です。なんとか暗くなる前に距離をかせいでおきたいと思うも下 りが苦手な私のペースがどうしてもあがりません。笹田リーダーに教えてもらった踵から 下りる足運びと、体をリラックスさせることを念頭においてとにかく。下る。下る。八丁 坂を下り、河原では、沢登り隊つりし殿のすばらしいルートファインディグで左岸右岸へ 渡渉しながら歩をすすめます。途中で、振り返ると甲斐駒ヶ岳が夕焼けにそまっている。 きれいだ。。。と見とれる暇なく、とにかくながーい河原歩きをします。砂防事務所を越 えたところで、右岸を歩いていくが、だんだん暗くなりテープを見つけるのも一苦労しま す。目印どおり、高巻きの道をゆきますが、テープとペンキのある道はなんだか、とって も悪いです。つりし殿が先行して偵察してくれます。ここは悪いので河原に降りようと判 断されまた河原を歩きます。時折、道らしきものが出てきますが、たびたび途切れます。 このあたりで完全に日が落ちてしまいます。ヘッドランプの灯りをたより河原を歩いてい ると、ゆらゆらとふたつほどのヘッドランプの灯りがあがってくるではありませんか。「 まさか、俺たちを捜索しに来たわけじゃないよね???」とつりし殿の冗談をとばします。 なかば、本気にしながら近づくとなんと、河原にテントを張っているパーティーが。聞く と、交通事故があり道路が通行止めになった影響で入山が遅れてしまったらしい。「あと、 1時間くらいで駐車場ですよ〜。うーーん。暗いからもっと掛かるかな?このまま川沿い になんとなくいけばつきますよ〜」と励まされてて、さらに河原をゆきます。左岸へ、中 洲へ、右岸へと何度か川を渡ります。
 図体の割りには怖がりの私は、そのたび気合をいれて、川をジャンプで超えていきます。 空は満点の星空。上弦の月に周囲の山々が黒く浮き上がり幻想的です。すると、河原に一 人またたたずんでいる人を発見。こちらに気がついて、挨拶する。「もう、そこが駐車場 ですよ〜」と指さされた先をみると。暗くてみえなかったが、駐車場発見!!!頂上と同 じくらいうれしい駐車場到着。無事下山!!つりし殿と2人でバンザイ!! 時計をみると18時10分。やはり長衛荘から5時間。朝5時から行動しているので13時間行動。 よく歩きました!
 その後、高藤さくらホテルの温泉に入りました(いいお湯でした)この時、ザックをおろ して武装解除した私は、気が緩んだのか歩くのもやっとの状態。足腰が悲鳴をあげており ました。ああ、足が棒になるっていうのはこういうことかと実感するとともに、もっと鍛 錬しないといけないと思いました。
 さらに、帰京したのは0時近くになっておりました。下山後の運転、また、下山時に終始 リードしてくれ、ヘタレさぶに気をつかってくれたつりし殿には心からのお礼を。。。心 強かったです。今回、初めての冬合宿でしたが、笹田リーダーはじめ、皆さんには、本当 にお世話になりました。
 特に、最終日、仙丈ヶ岳の登頂を後押ししてくれたリーダーの判断に感謝します。本当に よい経験になりました。ありがとうございました!



 

冬合宿 甲斐駒・仙丈(後発組)
ほっしー

期間  2011 12/29 〜 2012 1/1
参加者 あつこ(SL)、ミナト、みどり、ほっしー(記録)
1日目 新宿6:50(バス)〜伊那市10:00 〜戸台・橋本山荘発(11:15)〜北沢駒仙小屋 BC(15:45)
2日目 BC発(4:50)〜小仙丈(8:45)〜仙丈岳(10:00)
   往路〜BC着(13:40)
3日目 BC発(4:50)〜仙水峠(6:30)〜駒津峰(8:20)〜甲斐駒(10:10)〜双児山(12:45)〜BC(14:30)
4日目 BC発(7:00)〜戸台駐車場(11:50)〜高速バス・新宿着(17:50)

12/29
 バス、タクシーを乗り継ぎ橋本山荘へ。雨トリオ揃い踏みでどうなることか等と冗談交 じりにやってきましたが初日から好天に恵まれ期待の膨らむ歩き出しでした。ミナトさんリー ドの戸台川沿いの川原歩き。出だしから本日の核心と思われる長い川原歩きで、皆汗をか きながらのハイクアップでした。3時間余り歩き樹林帯をしばらく行ったところで不意に 「ケッチボー!」との声。颯爽と現れたのは笹田さん・つりしさん!甲斐駒をピストン後、 私たちを迎えに来てくれた御二方が眩しく映ります。合流後はこれまでとはまた違った雰 囲気となり疲れも忘れて残りの行程を歩いていたのですが、長兵衛荘先の氷結した道で私 がまさかの大転倒。首がバウンドするほど横っ面を打ち、後々まで痛みと付き合う羽目に なるのでした…。
 BCで先発隊と合流。4・5テン設置後、ジャンボテントにて飲み&夕食開始。雪訓で の14人入りを経験したメンバーにとっては広々とすら感じます。先発隊はすでに出来上 がっていたらしく、笹田さんは早々に横たわっておられました。私たちの迎えまでしてく ださった労もあると思い、静かに見守ることに。9時就寝。翌朝は3時起床。

12/30
 遠足前は眠れないという仕事柄致命的な癖が出て睡眠不足気味ですが憧れの仙丈への期 待で心躍る朝でした。つりしさん、さぶさんは本日下山の為、途中長兵衛荘に荷物をデポし 改めての出発。森林限界を超えると晴天の中稜線から巻き上がる雪煙がとても美しく、左 手には富士山もくっきり見え冬山の醍醐味を満喫できます。一方風がとても強く、3000m 級山岳の厳しさも体感することに。
 それから小一時間ほど、リードしていたあつこさんが振り返り3番手をとっていたみどりさんの 鼻が凍傷ではないかと気付く。見ると確かに血が引いたように白い。リーダーとしての細 かい洞察に脱帽。勉強になります。自分もまだ平気だろうと顔を露出していたのですがこ こで考えを改めました。sa山さん・いたさんの適切な処置とアドバイス。時々からかうよ うに怖いことを言って脅かすsa山さん。それをたしなめるいたさん。そんな雰囲気に心ほ だされつつ再度出発。
 小仙丈に立つ。このあたりではっきりと目指す仙丈の全容が確認できる。まだまだ遠い。 天気は最高ですがさすがに稜線の風は強く、度々耐風姿勢で立ちどまりながらの行程。 あつこさんの絶妙なペース配分のお陰で疲労感はないものの、この風の為か山頂まではとて も長く感じました。いよいよ山頂に着いたときは風も少し落ち着き、中部山岳一帯を見渡 す大展望を満喫。冬山の3000m越えは自身初めてでしたので、息をのむような絶景に感無 量でした。
 帰りは往路を。部長はじめシニアチーム(自称)の計らいで長兵衛荘でそば、うどんを ごちそうになりました。これが本当においしい!冷えた体には最高のごちそうでした。あ りがとうございました。食後、ここで惜しみつつ、つりしさん・さぶさんの下山を見送りまし た。日程中の分離は一抹の寂しさを感じます。
 BC到着後近くに手頃な滝があるということで、sa山さん、あつこさん、ミナトさん、私とで アイスクライミングに興じることに。メンバーの物から適していそうなピッケルを品定め していると笹田さんから「道具とかじゃねえんだよ」とのお言葉。自分の浅はかさを痛感。 その笹田さんがトップでロープをかけて下さり、そのままテントで飲みへ。その後先述の 4名で行い、小さな滝ではありましたがのちのIC山行に向けて期待の膨らむトレーニング でした。終了後テントに戻り飲み&夕食。sa山さんはまだみどりさんを以下略。明朝は初の 食担で緊張しつつもこの日はぐっすり眠ることができました。

千丈からの下り。すばらしいですね テン場脇でアイスクライミングごっこ

12/31
 初食担の朝。緊張と恐怖のどん底でしたが、幸いにも皆さん暖かい言葉をかけて下さり 大変救われる思いでした。徐々にレパートリーも増やしていければと思います。
 準備を済ませ部長、いたさん、sa山さんの下山組と別れを惜しみつつ出発。樹林帯を抜 けると昨日とは一転雪もまばらな岩場の急登が続きます。アイゼンを新調したばかりのあつこ さんから度々「アイゼンちゃんが〜…」との悲鳴。仙水峠から登る道すがら右手の尾根 を見てミナトさんが「よさそうな滝がありますよ」。見ると数十mはありそうな見事な滝がで きている。薮やら滝やら進めそうな場所を見つけては終始心ときめかせておられるようで 楽しそうでした。あやかりたいものです。陽も上がり、本日も快晴。昨日と違い稜線に出 ても風が弱くとても良いコンディションでした。
 駒津峰に至り小休止。目指す甲斐駒が正面に迫る。仙丈とは対照的に男性的な岩峰の威 容に圧倒されます。そこから一旦下ってから山頂まで一気に登り返す。表示を頼りに所々 両手で岩を支持しながら高度を上げていきます。気付けば休憩も忘れて1時間超。あつこさ んが休憩の確認をし、「山頂までもう少しだから行きましょう」とカトさん。皆異存なし。 意気揚々と山頂まで。
 山頂に着き記念撮影。先に来ていたお兄さんが撮影を買って出て下さる。ここで思わぬ サプライズ!この日が誕生日というみどりさんの為にあつこさんが祝いのメッセージを込めた フラッグを手渡します。みどりさんの目にも光るものが。フラッグとともに撮影後ハッピー バスデイの合唱。粋な計らいにより、思い出に残る喜ばしい甲斐駒登頂となりました。
 帰りは分岐をそれぞれ摩利支天・双児山側にルートを取り下ります。駒津峰まではアッ プダウンが頻繁で、「下りの登りって辛いよね」とこぼしながら一同。双児山を経て樹林 帯を下る中、あつこさんからいよいよ「アイゼン外しませんか?」との声。すっかり逞しく なったアイゼンちゃんを愛おしむ様にしまい再びBCへ。
 まだ明るいテント内では残りの酒、つまみが盛大に振る舞われ、おでんそばのはずのは ずのおでんも早々に酒の肴に。夕食はちゃんとそばを頂き、山での年越しそばは何とも贅 沢なものでした。

巻き道なんて使わず直登! 無事登頂!みどりさん誕生日おめでとうございます

1/1
 テント内にて新年の挨拶。山でおせちまで頂け心尽くしに感謝です。BCを撤収し出発。 最終日まで晴天が続き山行の締めくくりも清々しいものでした。この日はトップ。峠を下 り樹林帯に入るとキツツキのドラミングが心地よく響いてきます。ここまでは順調。しか し河原との境界・山渓荘跡からが試練でした…。長い河原歩き、終始ルート探しに苦心。 薄い踏み跡を探しながら歩くと「赤テープこっちにあるよ」の声。その赤テープもそこか しこにあり、下を見れば先が見えず、先を見れば足元を見失う。「こっちだ!」と思い切 って歩いていると後ろの方を歩いていたはずの笹田さんが別ルートからスーッと追い抜い て行く。そんなことを繰り返しつつ大蛇行。内心パニック状態でした。ルートファインデ ィングは今後の課題です。余計に時間を費やしながら下りてきて、駐車場の手前で甲斐駒 をバックに集合写真をパチリ。遠く山頂に旅の思い出を振り返り帰路につきました。

 今回は自身初の甲斐駒仙丈に加え山での年越しと、大変記念になる山行でした。笹田CL、 後発隊あつこSLはじめ諸先輩方には山での心得や心遣いも学び、楽しく安全な山行をさせて 頂いたこと感謝に堪えません。皆様、ありがとうございました。



 

甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳冬山合宿総評
CL笹田

 連日好天に恵まれ積雪も少なく所期の目標を達成出来た喜びは、参加者全員の笑顔に表 われておりました。サブリーダー、幹事、メンバー諸氏の努力の賜物と感謝致します。
 振り返れば諸氏の実力が日を経ると共に充実し、今日を迎えることが出来たことに一先 輩として感慨深いものがあります。合宿は生い立ちも異なる人達が同じ環境の中で、頂を 目指し協力しながら立ち向かう貴重な機会です。私はこの中で日常生活では得られない共 同生活の中から生涯の友が育まれものと信じ今日まで生きてきました。

下記は1969年12月20日発行の「稜友 NO.70」巻頭言です。
(サン・テクジュベリ著「人間の土地」堀口大學訳 抜粋)
改めて付記し総評に代えます。

 ぼくら以外のところにあって、しかもぼくらの間に共通のある目的によって、兄弟たちと 結ばれるとき、ぼくらは初めて楽に息がつける。
また経験はぼくらに教えてくれる、愛するということは、お互いに相見合うことではなく て、諸共に同じ方向を見ることだと。
 一束ねの薪束の中に、一緒に結ばれないかぎり、同僚もなく、同じ峰を目ざして到り着か ないかぎり、同僚もないわけだ。
もしそうでなかったとしたら、現在のような万事に都合のいい世紀にあって、どうしてぼ くらが、砂漠の中で、最後に残った僅かばかりな食料をわかち合うことにあれほど深い喜 びを感じただろうか・・・
 サハラ砂漠におけるあの救援作業の大きな喜びを知った者にとっては、他の喜びはすべて 仮初としか見えないのだ。


'11年冬合宿
SLカト

 '07年入会の翌年の'08年冬合宿から毎年参加し、今回で4回目となります。最初の'08年 から5名、5名、9名、そして今回が11名と年を重ねるごとに参加者が増え北稜の充実振りが 伺えます。しかし、家庭の事情、仕事の関係などで行きたくても行けない会員が多数存在 することも事実です。その方たちの分までしっかり訓練し勉強しなければならないと思っ ています。その意味で4回目の甲斐駒千丈冬合宿は、4年間CLの笹田先輩の的確な判断、 4年間一緒に参加したSLあつこ氏の適切な行動、参加者の主体的行動などにより統制の取 れた優れたチームワークが発揮されたと思います。
 私も笹田CLに倣いガストン・レビュファの「モンブラン山群:特選100コース(近 藤等氏翻訳)」「まえがき」巻頭部分を紹介して感想といたしますが、山に向かう心意気 を感じる一節です。
 『どのピークを登るべきか?どのルートから、なぜいつ、どのようにして?これはある アルピニストが、冬の間、山登りを夢想し、来るべきシーズンの登山計画を準備している 時、そして、その次には現地に到着して、その願望を、高山とコンディションに適応しな ければならないときに、心をときめかしながら自分に問いかける大きな問題である。  どの山行を選ぶべきか?どのようなかたちの困難に立ち向かうことになるのかともいえ るし、どのような困難を期待できるのかともいえるだろう。さもなければクライマーはや さしい登攀しか企てないことになる。それに人間の本性は元来、難しいことが好きなので はないだろうか?』


冬合宿感想
SLあつこ

 29日、先発隊より1日遅れで入山する。八丁坂を半分ほど登ったところで、ケッチボー の声。先発隊の笹田さん・山田さんの思いがけない出迎えで、とても嬉しい。しかも、甲斐 駒ピストン後の疲れた体で来て下さったことを思うと、頭が下がる。夜の宴会では、翌日 の仙丈ケ岳ピストンの先頭を拝命。小千丈付近の稜線はなだらかなため、視界がなくなる と困るな、と緊張しながら就寝。
 翌30日、総勢11名の大部隊でスタート。汗をかかないようゆっくり歩きを心がけるが、 気づくと少しペースが上がっている。時折後ろを振り返って調整するが、やはり少し速か ったのか、2p目でみどりさんが疲労気味なことに気づいたミナトさんが、荷物の分散を 申し出て下さった。歩きながらのため表情までは見ておらず、申し訳ない。やがて森林限 界が近づくが、後続がいるため止まることができず、樹林を抜けてからの身支度休憩とな る。稜線はやはり風が強いが、景色はすばらしく、富士山や北岳がくっきり見えた。
 強風の稜線を、耐風姿勢を交えながら進む。トレースはしっかりあるが、たまにその上 に雪が積もり、わずかに深くなっている箇所がある。そういう場所は息が上がり、サング ラスが曇りがちになるため、頻繁に目出帽を上げ下げしながら進む。次の休憩の際、ふと みどりさんの鼻の一部が白いことに気付いた。もしや凍傷ではと思い話を聞くと、目出帽 はしていたものの、鼻はずっと出しっぱなしだったという。取りあえず目出帽を引き上げ てもらうが、見たことのない白さに、このまま進んで良いのか引き返すべきか、判断がつ かない。そのため後ろのベテラン組に声をかけると、いたさんがすぐに様子を見に来てく ださった。再び鼻を見ると、目出帽を引き上げてから数分足らずの間に、白い範囲が半分 ほどに減り、赤みが戻ってきている。いたさんによれば「軽い凍傷だけど問題なし、目出 帽を鼻までしっかりかぶって、鼻を揉みながら行けば大丈夫」とのこと。さすがベテラン の判断、尊敬と同時にほっとした。
 横から吹き付ける風は場所により強さを増し、時折よろめくほどの強風 が来るようになる。硫黄岳や那須岳の烈風に比べれば大したことはないし、メンバーの 中で一番貧弱な私が進めるうちは問題ないだろうと思いつつも、冬山初心者がいる中で、 いつまで前進を続けていいものかと悩みながら進む。笹田CLをはじめ誰も何も言わないが、も しや先頭の私に撤退判断が委ねられているのでは、試されているのではと邪推までしてし まう。やがて強風のコルに出て、しばし耐風姿勢で悩んでいると、後ろからカトさんSLが やってきて、フォローしてくださった。うーんまだまだ前進なのねと思いながら先に進み、 やがて千丈岳山頂へ。北稜の旗とともに記念撮影し、早々に退散。あとは下るだけだが、 前進判断の悩みがなくなったせいか、急に寒さが身に染みてきた。内部から熱を起こさね ばと、わずかな休憩にできるだけレーションを詰め込む。やがて指先の感覚がなくなり、腕を振 り回しながら進むが、血行が戻り始める時の言葉にならない痛さが本当につらい。やがて 樹林帯まで戻り、ほっと一息。あとは休憩を取りながら長衛小屋へ下り、部長にご褒美の そばとうどんを振舞っていただき、下山のさぶちゃん・つりしさんを見送り、無事行程終 了。
 が、テントに落ち着いてから、みどりさんの人差し指の先が変色していることが判明。 今度こそ下山&医者直行かと内心慄く私をよそに、ベテラン勢からアドバイスが飛び、 「凍傷だが、帰宅後に念 のため医者に行けば大丈夫、明日の甲斐駒も問題なし」という結論に。小心者の私はすぐ に過度の安全策を考えてしまうが、ベテラン勢の慎重すぎず無謀でもない的確な判断は、 本当にすごいと思う。経験によりいずれは的確な判断ができるようになるだろうか。
 翌31日、甲斐駒ピストン。再度先頭を拝命し、今度こそゆっくりペースを心がけながら 進む。風はほとんどなく穏やかで、仙水峠からの景色がすばらしい。遠目には一体どこを 登るのか想像もつかない甲斐駒の岩肌を、マークを頼りに進んでいく。直登コースの軽い岩 登りに集中するうちに休憩を忘れ、1時間以上休みをとらずに頂上へ。絶好の天気、すば らしい景色を楽しんだ後、二児山コースで無事下山。厳しくはないが行程が長く、なかな かハードだった。
 冬山は本当にすばらしく、また難しいと思う。今回千丈岳では風速20mほどあったと思 うが、それでも前進した。ただ、同じ風速20mでも、天気の傾向やメンバーの具合により 撤退になる場合もあると思う。また、凍傷の程度など、経験してみないとわからないこと も多い。経験を積んで判断力を養い、今後も安全登山を続けられたらと思う。


なつかしの甲斐駒そして仙丈へ
いた

 冬の甲斐駒へ登りたい・・・との想いが身体をひっぱていた。
雪が少なく夏山状態でアイゼンを履いているのでかえって歩き難い。無風状態の頂上で、 とうとう来たなぁとふつふつと喜びが沸いてきました。
 仙丈は初めて冬に登頂した山、変わらずに たおやかな姿を見せている。でも今日はご 機嫌が悪かったのかいやに吹きまくって、耐風姿勢をしながら歩かないと飛ばされそう だった。
 年を重ねて登るのは、思い出とともに歩くことが出来るのです。
この道をあの時はOさんと話しながら・・・下山する頃には声がかれてしまうほど笑った。  一緒に登っていた女性達は早くに亡くなってしまって・・・つらい時など「いたさんガン バッテ」「あんた良く登るねえ」「しっかりしなさい!」と例の言い方でそれぞれ後押しを してくれるような気がする。 そんなことを思いながら歩いていました。
 皆のため再度甲斐駒に登られた笹田さん、カトさんには頭の下がる思いでいます。


冬合宿感想
ミナト

 今回、記録係りを指名されておりましたが、ホッシーさんも同様の記録を録っており重 複してしまいますので、私の合宿での感想を記録に代えさせていただきます。

笹田CLもおっしゃっておりますが、合宿は大先輩から新人まで様々な年代の会員が多数 参加されるので、特に新人にとっては先輩の持っている技術を学ぶ絶好の機会であるとい ってよいでしょう。今回も大先輩、中堅、新人と程よくブレンドされた構成であり、新人 の部類に属している私にとって、大変良い勉強になる合宿となりました。

 今回の合宿において、私は一つの目的をもって参加しました。過去3回の合宿に参加し、 私がその都度感じていたことがあります。それは、笹田大先輩が全てにおいて誰よりも早 く行動準備を済ませ、他の会員を待たせるようなことが1度たりともなかったことです。 だからといってせかせかと準備している様子も見られず、いつの間にか誰よりも早く行動 準備が整ってしまっていることは大いなる疑問でありました。今回はつぶさに観察し、『 なぜ笹田大先輩は、あんなに早く行動準備が出来るのか?』という疑問を解明することを 目的としました。

 戸台からの長い河原歩きと八丁坂の急登で、重荷が肩にくい込みます。さらに陽も暮れ かかり心細くなってきた頃に、笹田CLとつりしさんが後発隊の我々を迎えに来て下さっ た時は本当に嬉しかったです。前方から聞こえてきた「ケッチボー」のエールは、今まで の疲れを吹き飛ばす力を持っており、山の仲間の絆を大いに感じる場面でありました。  先発隊と合流し、宴会〜夕食へと幸せな時間が過ぎていきます。そろそろお開きとなる 頃、笹田CLは食器で最後のお茶を済ますと、トレペでサッと拭いてすぐに片づけていま した。食器の汚れをお茶で流すという合理的な行動に、私は疑問を解明する糸口を見つけ たような気がしました。その後、皆がトイレだ、ハミガキだ、明日の準備だとアタフタし ている時には、笹田CLは余計なことはせず、すでにシュラフに入っており、あとは眠る だけの状態でありました。
 翌朝、笹田CLは起床と同時にトイレを済ませます。空いているので待ち時間が無いか らだそうです。昨夜と同じように朝食後の食器もサッと片づけると、誰よりも早くアイゼ ンを着け出発の準備を整えています。その頃、私は今日持っていく物をあれやこれやとザ ックに入れたり出したり、結局ヘッデンの予備電池を忘れ、出発時間も迫りパニック状態 です。新人のミドリさんやホッシーも似たような状況のようです。笹田CLはストレッチ などを行いのんびりしていますが、その横にはやはり準備が整い談笑している方がおられ ました。そのお方は、いた大先輩でありました。そこで私はハタッと気が付きました。笹 田CLに限らず『大先輩は皆、行動準備が早い!』ということに。
 なぜ大先輩は行動準備が早いのか?を、その後のお二方を秘かに観察することで、私な りに勝手に推測しました。結論から申しますと、『すべてにおいて合理的であり、やるべ きことは必ずやるが、無駄なことはいっさいしない』が、行動準備にも現れているという ことです。これは長年の経験から、状況に合わせた必要なこと・不必要なことを識別する 能力が、自然に養われたからではないのでしょうか。そして不必要なことを削除すること で、準備時間のみならず、すべての行動においても合理化がなされるのです。
 今回の仙丈岳での強風など比べものにならないような厳しい状況の中で、自分の準備不 足が原因で大切な仲間を待たせるようなことがあってはなりませんし、悪天候の隙を突い てすぐに行動に移らなければならないような事態で、余計なことをしてビバーク用具の撤 収にもたついていたら遭難してしまいます。また、やむなく雪崩れそうな箇所を通過しな ければならない時に、アイゼンが外れたなどと言ってはいられません。そのような場面に 数多く遭遇し対処してきた大先輩の方々の行動そのものが、行動準備に限らず登山をする 上全般での生きた教科書であり、大原則なのではないでしょうか。
 私のような新人が大先輩を見習い、すぐに同じような行動をとることは出来ません。必 要、不必要なモノ・行動の識別が出来ないからです。しかし、それらを少しでも多く習得 するためには、今回のような合宿は大変有意義な場であることは間違いありません。今後 も可能な限りこのような合宿に参加して、大先輩の方々に近づけるよう精進してまいりた いと思います。

 最後に、仙丈岳の登頂の際、厳しい強風の吹いてくるその先に、純白に輝く北アルプス の峰々が見えました。今、この瞬間にもあの稜線には、私がいるこの場所以上の強風と積 雪と凍てつく寒さに耐えながら登山している者がいるのだと思うと、厳冬期の三千米峰で ある仙丈岳に登頂出来た喜びよりも、前者に対して憧れる想いの方が強かったことを正直 に告白します。今の私にはとてもそのような力量はありませんが、「俺もいつかは必ず!」 と純白の雪稜に身を投じトレースを印すことを夢み、誓いました。