剱岳(後発隊)(夏合宿)

ミナト

期日:2011年8月21〜23日
参加者:あつこ(CL)、笹田、藍澤、カト、ミナト(記録)


8月21日
室堂13:10〜別山乗越15:55〜剣沢BC16:30
8月22日
BC7:00〜剣岳山頂10:25〜BC13:15
8月23日
BC8:30〜室堂12:00

8月21日(曇りのち雨)
 今回のアプローチは、春合宿よりさらにパワーアップして2階建ての新幹線MAXです。カッコイー!当然私はこんな最先端の乗り物に乗るのは初めてであり、例によってひとりだけ大興奮でありましたが、他の人に悟られないようおとなしくしていました。
 越後湯沢で特急に乗り換え富山へ。その後、いろいろな乗り物を息つく間もなく乗り継ぎ、室堂に到着。雨具を着込み剣沢キャンプ場を目指しますが、雨も降り展望もないので皆さんの口数は少なく元気のない行進です。
 しかし、雷鳥坂をダラダラと登っていると突然のサプライズが待っていました。なんと先発隊の皆さんが我々の荷上げを手伝うべく迎えに来てくれたのです。思わず「ケッチボー!!!」を叫び、大感謝です。今までの沈んだ気分が一気に晴れました。
 荷物の分担をしながら先発隊の皆さんから昨日までの話を聞いたりしていたのですが、私は何か妙な違和感を感じていました。Sa山さんはいつもどおりであいかわらずだし、サブさんは耳に飾りを着けて妖艶な雰囲気を醸し出していますが違和感とはちょっと違います。そして笹田親分は…!私はその場で腰を抜かし、雷鳥平へゴロゴロと転げ落ちて行ってしまいそうなぐらい驚いてしまいました。なんとそこには象の印の真っ赤なカッパを着て(マムートのハードシェルというらしい)、伸び縮みする杖を持ち(ダブルストックというらしい)、ザックから出ている妙な管を口に咥えチュウチュウと何かを吸っている(ハイドレーションシステムというらしい)笹田親分の姿があったのです。
 うす黄色いペラペラなユ○クロのヤッケを羽織り、「杖をついてまで山へなんか登りたくないね!」とおっしゃっていた、これぞ日本の山屋、これぞジャパニーズスタイル!を貫き通していた親分の姿は微塵もありません。これじゃ「親分」でなく「ボス」じゃないですか?
 きっとこれは7月のヨーロッパ遠征で何かあったに違いない。もしかしたらワインの飲み過ぎで頭の中が…漬けになってしまわれたのか?チーズの食い過ぎで脳みそが…状になってしまわれたのか?いずれにしろ今後はこのスタイルで通すらしいのですが、我々としては早く本来の姿に戻ることを望みます。だって「ボス」って呼ばなきゃならないのは恥ずかしいですから。
 その後、おかげさまで荷が軽くなり順調に剣沢テン場に到着しテントを張り終えると、早速盛大な宴会になりました。ここで富士山行でケチをつけられた親分がリベンジするべくミナトと料理勝負を行い、見事勝利しました。料理オンチなミナトに勝ってもしょうがないと思うのですが、親分の勝利の高笑いは夜の更けるまで続くのでありました。

8月22日(雨のち曇り時々雨)
 午前4時に起床するも、雨のため予定していた六峰フェースの登攀は中止です。この雨じゃ仕方ないですね。その後は、少し回復傾向になってきたので、一般登山道で剣岳登頂をすることになりました。以後の記録はサブさんと重複するので省略させていただきます。

8月23日(雨時々曇り、風強し)
 夜半より強雨となり、本日の登攀も当然中止。沈殿していてもしょうがないので、あつこリーダーの判断によりとっとと下山することになりました。
 ここで、今晩の食坦であったカトさんから申し出があり、カレー用に持ってきた野菜を皆で消化することになりました。あつこリーダーのおいしい朝食を食べた直後の満腹状態でしたが、野菜ならなんとか食べられるだろうと了解しましたが、とんでもない量の野菜を見て一同絶句です。3リットルの鍋に軽く2杯分です。よくもまあ、こんなに沢山荷上げしたものだと感心してしまいました。
 料理勝負で勝利し気を良くした笹田親分の采配で料理が始まりましたが、最初は「ヨシ、野菜炒めを作るぞ!」のはずが、なぜか出来上がりは「これが野菜のゴッタ煮カレー風味だ」でした。でもニンジン以外は大変おいしかったです。
 重たい腹を抱え別山乗越しを越え、雷鳥平で食べ残しのタマネギとオクラのレーションをさらに腹に詰め込み、やっとこ室堂に到着です。ここで笹田親分が秤を見つけ、早速皆のザック重量の検測が始まりました。結果は親分ザックが21キロ、他のザックは20キロで、親分の一人勝ちでした。もう皆さんはお分かりだと思いますが、親分の喜び様は大変なもので、「ミナトは変なボッカトレとかやっているらしいが、まだまだ俺の方が上だな!ワハハハ」と勝利の高笑いは富山駅を通り越し大宮駅まで続きました。でも、最後に藍澤さんが「笹やんは昔からああなんだ。ちっとも変わらないんだよな。だから、あんまり気にしない方がいいよ」と言って下さり、変に納得してしまいました。

親分からボスへ・・・衝撃のクラスチェンジ ボス渾身の野菜のゴッタ煮カレー風味


   今回は天候が悪くメインの六峰フェースの登攀が出来ず残念でしたが、あつこリーダーをはじめ、先輩の方々のおかげで大変楽しい合宿を経験させていただきました。また、剣沢から見た源次郎尾根や八ツ峰上部の姿はとても印象的で、剣岳が岩と雪の殿堂といわれる所以がよく分かりました。来年もこの剣岳で合宿を行い、六峰フェースはもちろん、源次郎尾根や八ツ峰上半などにも足を延ばしてみたいと強く思いました。