豆焼沢

ハギ

期日:2011年7月16〜17日
参加者:メンバー:ハギ、アベ、つりし


7月16日
出会いの丘10:17〜ホチの滝11:05〜トオの滝13:48?〜12M滝15:05〜50M大滝15:45〜BP17:15
7月17日
BP06:46〜二俣(両門の滝)07:40〜登山道09:12〜雁坂小屋09:36/10:15〜豆焼橋12:39

7月16日
溶けるような暑さに恵まれた。アベさんの車で到着した出会いの丘にて装備を整え出発。ヘリポートの奥、踏跡を辿り始めるが、2時間以上のショートカットでトオの滝手前に続くというこの踏跡をすぐに無視して、ワサビ沢脇を適当にガシガシ下ると、豆焼橋の下の出合。強烈な日差しの中、好き勝手にのどかな河原を進む。
程なく滝が連続、1時間ほどで雁坂橋下のホチの滝。なんとなく踏跡?な手前から右岸を巻こうとして岩壁に阻まれる。ここは前衛滝を右から巻いて直前から高巻くのが正解。上部の乗り越しが悪く、ホチの滝は巻く以外の選択肢はないのだが、最近あまり踏まれてないような印象だ。
暫し進み、下流部核心というゴルジュ。どん詰まりには、左に2Mほど上に残置・右は巨木が倒れ掛かっていてその上端に引っ掛ける形でトラロープがぶら下がっている。つりしさんが左トライ、残置の上も手掛かり乏しくツルツルで攻めあぐね断念。右から、アベさんが空身で登る。1.5Mをトラロープ利用でゴボウ、テラス状から気合い一発左に移り、そこから上のすり鉢状のツルツルヌメヌメをフリーで登りきった。見ているこちらが手に汗を握る。3人分荷揚げした後ロープ確保して貰い同様に登った。確保されているので落ち着いて上がれたが、フリーは絶対に勘弁して欲しい。後から調べたら、左岸に巻道があったようだ。
この沢、上流ではあまり気にならなくなったが、とにかくヌルヌルしたコケが岩全般に薄くつき、よく滑るのである。ゴム底靴は止めた方がよいと思う。

いざ入渓! コケコケの滝を登るつりしさん

途中、よさげな淵でつりしさんが水中メガネ装着、尺超え岩魚を視認。報告を受けたアベさんはすっかり気もそぞろになり、目線は足元でなく沢の深みを追う。ここはという所で「一本入れますか!!」この笑顔は素敵すぎて無視できず、静かに淵に影を落とさぬよう待機だ。果たして、毛針を放った途端引きが来て、元気な岩魚が宙を跳ねた。挨拶ができた、とアベさんは満足げ。(時間が早いので恵みを頂くための釣りは上流で時間的目処が立ってから、となったが、残念ながら大滝付近から上には魚影はなかった。)
トオの滝(らしき滝)は上部念のためロープ。手前の、日帰りではよく利用されているので明確なハズな、右からくるショートカットの山道を見落とした。というか…名もなきそこそこの滝が連続しどれがなんだか次第に判らなくなり、早く間違いようのない大滝に到着して現在地を把握したいと思っていた。見映えがして特徴的な、左に沢が曲がる位置にある12M滝は右端から左上気味に登る。落差はあるが登り易い。
そしてとうとう、写真で嫌というほど見覚えのある滝に来た。4段50M大滝である。全容は下からは見えない。つりしさんが竿を出すが、すぐに「ここにはいないな?」と首を振った。さて、「一段目は登れそうだねぇ」なんていう2人の会話に目を剥いた私は、”計画書上リーダー”の権限をここぞと振りかざし巻き主張。そして、ここからが私的に一日目の他の滝の印象をかなり掻き消してしまう時間の始まりだった。左岸にピンクのテープが巻き付けてあり、至近に踏跡ぽいものを確認。検索すれば記録が溢れる人気沢=そりゃテープの一つ位あるだろうと(他には一切、目印の類は見なかったのだが)何の疑問もなく取り付く。
程なく行き詰まり薄い笹ヤブの中をウロウロ。トラバース…無理、直上は…と先んじて偵察に出たつりしさんを追いかけアベさんもグングン上がり姿が見えなくなる、私は遅れをとり笹に掴まりフガフガしていると、戻って?と阿部さんのコール。先のトラバースを試みた地点の平な所まで戻って、どうもおかしいと初めてガイド確認。…推奨右岸じゃーん!!!
では、とアベさんはスルスル下る。ここまで来れば大丈夫ヨ、と私に一声かけ、ガンガン降りてしまわれる。私、笹にぶら下がってエイヤと身体を引き上げた所をエイヤと降りられず、つりしさんが垂らしたシュリンゲに捕まりジリジリと足を延ばす。「もう離していい?」「ダメーッ届いてないっす?ッ!!」短足万歳なのであった。
ボヤキながらようやく平らな地面に降り立つと、右岸にニコニコ笑顔のアベ先輩。片や笑顔、片や死に体では余りにも格好悪い、ギアが完全ローに入っていた私は再度ギア入れ直し、「いや?参りましたね?紛らわしいテープで!!」と空元気を吹かす(ピンクテープはアベさんが外した)。この巻きも、良かったのは途中までで最後の乗り越しは3M程の壁。落っこちたら3Mどころでなく、ささっとお助け紐お願いし左の溝を登った。
…ヤレヤレ、大滝を巻くのに1時間も要してしまった。この時間の半分以上を対岸で費やした計算だ。テープにつられ、周りの観察を怠ったことを反省する。ネットの記録にだって1ミリたりとも左岸を巻いたなどとは書いてなかったのに。
大滝上の滝も巻いてほどなく、左岸に適地確認。もう誰がなんて言うこともなく、決定。(これより少し上流には、同じような感じの焚火後がある所が一箇所あった)
あとはお決まりの宴会。少し先に淵があり、焚火を起こす間二人は竿を出すが、ここまで上がるともう魚はいないみたいだ。半年振りのつりしさん沢定番クサヤを賞味し、アベさんのリーダー論など、いい話を沢山聞けた。
広くて明るい沢です 滝を登るアベさん
滝を登るアベさん&ハギさん つりしさん特製クサヤ

7月17日
翌日はのっけから巻きである。BPの所からすぐ、をつりしさんが見に行くがあまりよくないので、すぐに戻り右岸を巻く。年月を経た瀬戸物や瓶のカケラ、こんな所で見ると不思議な感じがするものが一帯、目についた。その後は沢を横切り、左岸を巻く。4段20Mナメ滝だ。
暫し進むと、両門の滝になっている二俣。右俣に入ると上はナメ滝が続く…陽光にきらめく水流が流れ落ちていく中を自由に登る爽快さは格別だった。あ?幸せ。
この後は、小滝をこなし、正面のガレ本流をガイドの通り避け、左の枝沢へ入る。フカフカした緑の絨毯のような苔のついた滝を気持ち良く登っていく。ミニゴルジュの滝も楽しみながら登り、暫くすると雁坂小屋の水タンクが奥に見え、手前に沢を横切る登山道。終了点だ。
最後まで尽きることなく水がある、詰めナシ快適!な終了点だった。
ここから雁坂小屋に向かい、小屋のベンチ&テーブルを借りて装備を解く。小屋のご主人と片付けながらしばし雑談を交わす。我々はここまで誰にも会わなかったが、昨日2、3豆焼パーティが上がってきたらしい。土曜早朝発の日帰りだろうか。豆焼橋に戻る黒岩尾根は、最後にグッと高度を下げる所まではずっとゆるやかなトラバース気味な道、まだかな?と気は急いたが、のんびり下ることができた。
今回は、自分の現在の実力がよく分かった山行だった。「先輩頼み」で終わらすことのないよう、次に繋げていきたいと思う。ルートファインディングもオフの岩トレも…頑張らなければと感じた。とかくムム!となると眉間がシワシワ気味だった私、技術的なこと以外にも、明るいお二人に精神的に引き上げて頂いた。いいメンバーとご一緒できよかったです。ありがとうございました。

ピースサインで余裕のアベさん 緑が柔らかな素敵な沢でした