奥利根 宝川・ナルミズ沢遡行
〜”イワナ”感動した!!だけの記録〜

カト

期日:2009年7月25日 - 26日
参加者: 笹田(L)、いた、ハギ、ぺが、あっちゃん、カト

コースタイム
一日目
王子(ぺが車)6:00=いた邸6:1010:10水上IC10:30宝川温泉=車止めG10:50/11:00過ぎ−渡渉点13:00/13:25−ウツボギ沢出合14:3016:15大石沢出合(幕営、行動時間5:15

二日目
大石沢出合、ハーケン打講習5:00/5:456:20魚止め滝−7:20右股・左股分岐−8:35草原−9:00越後烏帽子手前尾根−10:15ジャンクションピーク−10:50朝日岳−12:20大石沢出合(幕営地)−13:40ウツボギ沢出合−13:50渡渉点−15:20林道終点−16:00車止めG(行動時間11:00


(はじめに)
 山行記録の担当をいい加減に引き受けたつけがこんな形で出てくるとは!!。言い訳がましいことは好きではないが、沢の記録がこんなに難しいとは思いもつかなかった。その時々は頭に入れていたのだが、終わってみればどれも同じ景色でどこをどう遡行したかこんがらかっていた。以下のつたない記録をまとめるだけでも何度ペガさんに教えてもらったか。真にお粗末で悲しい出来事だ。歳のせいではなく元々の頭脳のせいであれば良いが。


7月25日(土曜日)
関越自動車道は高速料金1,000円効果と故障車で渋滞。花園ICで一般道に下りるが、ナビの最短時間ルートは高速道路を指示しているので再度花園ICから関越に入ると流れが良くなっている。宝川左岸の林道車止めG到着10:50。ここから林道と登山道を歩き2時間で渡渉点。アップダウンの多い細い登山道と時々日が射す思わぬ天候に吹き出た汗が川の冷気で一気に引っ込む。宝川は連日の雨で水量は多いらしく、渡渉点の流れは速い。沢靴などを装着しロープを出して左岸から右岸に渡渉する。笹田Lが長い流木を流れの1/3程に渡し水流を弱めてくれる。それでも流れの抵抗はかなりある。いよいよ沢登りの開始だ。ペガさんが先導し的確なルートファイティング。最初の滝は、滝つぼに腰までつかり超える。緩やかな浅瀬をしばらく行くとウツボギ沢出合の広川原に出る。ここから本格的な遡行開始。大きな石を渡り歩き、滝は左岸・右岸の厳しい崖をへっぴり腰で通過する。幾つ目の滝か記憶にないが、広川原をすぎた7m滝は笹田Lを除き右手より高巻く。この高巻き道は田んぼを歩くがごときで靴はどろどろ。やっと幕場の大石沢出合に着く。左岸の山の斜面は草地で明るく広いが勾配があるので右岸の低地の先着パーティの隣にテントを張る。笹田L、斜面上部の木にロープを設定し万が一に備える。

 ここからが核心部。宴会で盛り上がったことではない。ペガさんがイワナをゲットしたことだ。テンバを設営し夕食の準備をしていたところ先行していた群馬県大田山岳会の二人組みがゲットした大きなイワナ3匹を自慢げに披露するので、ペガさん俄然やる気になってイワナ釣りに挑戦する。誰もイワナに期待してない。そのうちおけらで帰ってくるだろうと宴会の用意をして待っているとやおら25cmほどの魚を手に帰ってくる。見事イワナ1匹を釣上げる。全員拍手と記念撮影。正にサプライズだ。小雨が降っていたが慌てて焚き火の用意をしようとするが適当な木がない。隣の大田山岳会は焚き木の煙は出るが火がつかない、あきらめてテントに引っ込む。貴重な1匹のイワナは笹田総料理長(?)の腕前で吸い物にする。こんなうまい吸い物を口にしたことがない。私が持参した自慢のささみ燻製は影が薄い。隣の大田山岳会からはイワナの刺身の差し入れがある。ほんの小さな肉片だがこれが絶品。感謝、感謝。いたさんがお返しを届ける。共同生活の原点がここにあると思うのだが、隣組感覚は山中のみか?

笹田L定番のベーコンと赤ワイン、いたさん菜園のトマト、はぎちゃん特製野菜スープカレーなどで舌鼓を打つ。イワナ談義に花が咲き川のせせらぎを子守唄に深い眠りに入る。

渡渉中 遡行中
7m滝(だと思われる)
我々は左岸を巻くが、笹田Lだけ登攀
大石沢手前のナメ


(2日目)晴

 4時起床。はぎちゃん特製の油揚、ちくわほか具沢山のラーメンを美味しくいただく。5時過ぎ笹田L指導のもとハンマーでハーケン打ちの練習。岩の割れ目の見極め、打ち込みの音による判断、外す要領など教わる。本日はナルミズ沢右股を詰め、天国と言われる草原、朝日岳を経て大石沢出合に戻る予定。必要なものだけを持ち5:45スタート。

遡行開始からすぐに大きな釜を持つ4、5mの滝を左手から越える。これから先は沢幅いっぱいに広がるナメと滝が目を楽しませてくれる。ある滝では、ペガさんと私が左手を高巻いている間に他のメンバーは滝壺を胸までつかり右壁をやすやすと越えている。慌てて戻り後続する。

 魚止めの滝でロープを出してもらう。コケでぬめる。大きな滝はここで終わりかと思ったらまだ先にあり、巻こうとしたら笹田Lが右岸の壁をへつりながら「手がかり、足がかりはあるから簡単だ、大丈夫なので登って」と手招きする。厳しい壁だったが、ロープなしで何とか通過。途中、はぎちゃん、お風呂気分でたっぷりと2度も壺につかる。

 明るく開けた黄土色の光る美しいナメ床、青く澄んだ壺、清流、越後烏帽子直下の草原、ニッコウキスゲ、ハクサンコザクラ、イワカガミなどなど咲き乱れ、正に天国言われる所以か。私のような年寄りは、ナメの三途の川を渡り極楽浄土の世界を思い描く。

 源流地点から稜線まで熊笹の中を泳ぐがごとく急登する。稜線で靴を履き替える。ジャンクションピークまでも滑る熊笹に悩まされる。JPから朝日岳までは気持ちよい稜線歩き。

池塘が点在しオアシスの感。心が和む幸福感もここまで。大石沢出合BCまで600m強をガレ場、濡れた道などを1時間20分かけて急降下する。日ごろのトレが試される場面だ。

 テントを撤収し、宝川右岸の登山道から下山する。ウツボギ沢出合で一旦川原に出てからまた登山道に入る。渡渉点は、昨日よりは水量は少なくなっていて靴のまま渡る。はだしは滑るから靴を履いたほうが良い、との笹田Lのアドバイス。狭くアップダウンのある登山道を1時間30分、林道を40分で車止めGにたどり着く。ゲートが見えたときは全員で万歳し、お互いの健闘を称えるとともにメンバーへの感謝を表す。


快適な遡行 魚止めの滝
右側を登るが水が流れているためザイルを出す。
ナメ、ナメ、ナメ 源頭部を詰め草原に出る
笹道を行く 朝日岳山頂をピストン


ナルミズ沢 〜人生初の岩魚釣り〜 
ぺがさす

テント設営し暫く宴会で盛り上がっていると、隣にテントを張った大田山岳会の二人が戻ってきた。手には3匹の岩魚が入った袋を持っていた。彼らは「釣れますよ、今日はこれ目当てで米しか持って来てません」との事。僕もせっかく竿を持ってきた事だし、遊んでみるか、と一人テントを出た。とはいえ、人生初の渓流釣り、竿に仕掛けをつけるのもままならない。持ってきたイクラを二つ針にかけ、出合の滝に流してみるが、まったく反応がなかった。

そのうち雨が本降りになり、「あーあ、やっぱりオケラかぁ」と思いテントに向かったが、途中の大石沢の小さな流れにちょっと糸を垂らしてみた。流れに沿ってながしてみると、途中で引っかかった感じがしたので「あ、根掛かりしちゃった」と思い引っ張ってみた。するとビクビクッと竿を引かれるではないか。「あれ?」と思って竿を上げてみると、岩魚が掛かっていた。初めての渓流釣りでいきなり釣れるとは思なかったのでびっくりした。

テントに持っていくと、予想外の出来事に皆が大変喜んでくれて、さらにびっくり。特に笹田Lの興奮は私以上のものだった。 雨が本降りなので、一匹で竿をたたみ、テントに入って釣った岩魚の澄まし汁を頂いた。釣った魚をその場で食べたのは人生初めての事だった。笹田Lの言われた「お金では買えない」幸せをひしひしと感じていた。


皆さんご存知だとは思いますが、私は釣りに関しては「超ド素人」です。最近やった釣りといえば、荒川でテナガエビを釣って油で揚げて食べた位で、渓流釣りなど昔読んだ釣りキチ三平の世界でした。ですが、この会に入って沢登りを教えてもらっているうちに、沢で岩魚を釣り、焚き火を囲んで仲間と語らい酒を飲むのが夢になっていきました。偶然とはいえ、岩魚を釣るという夢の一部が現実化し大変興奮しました。ですが完全な夢の実現(岩魚を釣り、仲間と焚き火で語らう)には、天気、時間、釣果など、すべてがそろわないといけないわけで、その為には、もっと沢に行き研鑽に励めということだと理解しています。皆様これからもよろしくお願い致します。

素人に釣られた可哀相なイワナ