稲倉岳・鳥海山千蛇谷 山スキー

         

いた

期日:2009年4月11〜12日
参加者:田中(OB)、いた、軍曹、他1


4月11日
七曲8:10…稲倉岳頂上11:50〜12:10…七曲14:00→(車で移動)→レクレーションの森出発15:00…幕場17:30
4月12日 幕場出発6:00…鳥海山頂上11:30〜11:40…車14:00

 以前に田中さんからの千蛇谷の写真を見たときは、日本ではないような景色に行ってみたいと思っていました。稲倉岳を往復してから幕場まで登り、翌日往復するという計画に、きつそうだな〜と思っていたけれど、なんとかなるだろうと出発したのです。

4月11日 稲倉岳
前日、新潟のビジネスホテルに泊まり、朝4時に田中さんの車に乗せていただく。鳥海山が見えてきて、回り込むと稲倉岳のなだらかな白い斜面が見えてきた。「ウワ〜、快適そうな斜面!」おもわず歓声をあげてしまったのですが…。七曲まで車が入りその先はスキーを担いで雪解け道を歩く。雪が出てきてシールを付けるようになると肩が楽になった。ブナ林はスックと立っていて、新芽はまだしっかり硬い殻に包まれている。樹林帯を抜けると目の前に続いていたのは、ゲレンデのような真っ白い斜面。ずーっと上に見えるのが頂上?いえいえそんなはずは、その向こうにあるものよねと言いながらゆっくり高度を稼ぐ。 暑い!じりじりと焼かれ汗が噴出す、夏山のようだ。
やっと風のない穏やかな頂上へ着いたフーッ。蟻の戸渡りの細い岩尾根が御浜の方へ連なって、左は千蛇谷の広い雪面が続いている。その先に新山が聳え立って眺められる。 明日あの斜面を登るの? その時には実感が沸かず、何か遠いものを見ているような気分でいました。
さあシールを取ってワクワクの時がきた、 快適快適! 田中さんは優雅なテレマーク、 72歳の長部さんはすばらしいバランスで滑っている。私はナントカそれなりに、安藤君はスキーはおてのもの。適宜な斜面に気持ちよく滑る滑る、集まっては又滑る。あとは樹にぶつからないよう気をつけて…。七曲への歩きの途中で黄色のマンサクの花が咲き始めていた、春一番の花を見るとうれしくなります。
車を中島台レクレーションの森へ移動し、泊まりの荷物を詰めたザックを背負い千蛇谷へと出発です。わかりずらい森を横切り、赤川を橋で渡り鳥越川と赤川が狭まった辺りに5時半ごろ着きました。水をとれるのが何よりです。ツェルトを張り今宵一夜の楽しい我が家が出来上がりました。豚肉と玉葱を大量にいためてくれる人、焼酎の香りを大切にと?ビンごと持ち上げる人。体力があるといいな〜。私は荷物をうんと減らして、梅酒をチビリチビリ。空には満天の星…。狭い空間で寄り添う私たちは幸せでした。

4月12日 鳥海山(千蛇谷より)
4時過ぎにそろそろ起き出し、荷物をデポして出発です、今日も天気は良い。緩やかな斜面が続きなかなか高度が上がらない。気温は高く日差しも強くなって、延々と続く雪面を右・左・右・左とシールを滑らせ、どの位繰り返せば着くのだろうか。ただただ忍耐の世界です。稲倉岳の東面の岩壁が見えてきて、いく筋もの雪崩の後が眺められる。そして左にカーブする辺りからは傾斜も増し、新山が遠くに姿を見せてきた。ああ、これが千蛇谷…。田中さんが送ってくれた写真の景色が目の前に眺められる。なんとスケールが大きいのだろう、右側はそそり立つ外輪山の岩壁が長々続き、広い広い谷を挟んで左は新山の荒々しい頂だ…。歩く私たちの小さなこと。
何段かの斜面を越し、新山の急斜面を登り出した、雪が軟らかいのでアイゼンもクトーも必要ない。右手には神社の屋根が見える。高度計は2000mを過ぎている、あと200m位だ。最後はスキーを背負って一歩一歩、風のそんなに強くない頂上にやっと着いた、もう登らなくていい。外輪山が目の前に迫り、遠くは霞んでいる。
皆を待たせてしまった私は急いで降る準備をする。「降りる斜面は狭いから、私は登ってきた方を行くよ」と長部さんは神社の右手の方へ滑って行った。ちょっと不安な私に「大丈夫、大丈夫」と田中さんは降りて行く。どんなかしらと後に続くと、快適斜面が待っていた! 登ってきた斜面より荒れてないよ〜。広い沢の中の延々とつづく斜面を滑る〜滑る〜集まってはまた滑る…途中で休憩…おりてしまうのがもったいないような斜面です。寝転んで空を見上げて、長部さんは気持ちよさそうです。<br> 傾斜がゆるくなって複雑な地形になってきても、田中さんは右へ左へどんどん降ります、姿を見失わないようその後を走ります…。とうとうデポ地に着き、ほ〜っと一息。さぁこれからは重くなった荷を背負い、樹林の中を慎重に滑り降ります。転ばないよう樹にあたらないように。レクレーションの森に水芭蕉の花が咲いていました、疲れた心が癒されます。皆で写真タイムになりました。 車が見えてきてオシマイ、よくがんばりました。
滑り降りた真っ白い鳥海山や稲倉岳を眺めながら、裾野をぐるりと走るのはうれしい事でした。 途中、海辺の村の共同浴場で汗を流し、桜の咲き始めた秋田を後に、日本海に沈む真っ赤な夕日に感激しながら、車は新潟へと向かったのでした。