南アルプス・白根三山

カト

期日:2008年7月19〜21日
参加者:(CL)なお、孝のほうだよ、ハギ、あっちゃん、カト


7月19日
新宿7:00=8:28甲府9:05(バス)=11:20広河原11:30−(大樺沢)−14:00二俣14:10−14:40白根お池(幕営)
7月20日
白根お池5:10−(草すべり)−肩ノ小屋7:50−9:00北岳9:40−13:20間ノ岳−15:20農鳥小屋(幕営)
7月21日
農鳥小屋4:20−西農鳥岳5:50−農鳥岳6:45−大門沢下降点7:30−大門沢小屋9:30−林道11:45−12:40奈良田温泉13:30(バス)=15:00身延16:14=17:36甲府18:05=19:36新宿

7月19日(土)晴れ
 登山を始めて10ヶ月。白根三山縦走をチャレンジできるとは。
 出発日、心配していた天気は好転し関東甲信越の梅雨明けとなった。幸先の良い山行の気配がする。部長の差し入れと見送りを受けて7時新宿発。甲府9時発広河原行のバスは臨時を含め3台が出動。我々は二台目のバスに乗る。満席の28名。
 広河原のゲート前でミーティング。CLから新人の勉強のためにと1日目と3日目の先頭を任される。また、記録を指示されたがよく理解できていなくて、下山後に再度念押しされて慌てて記憶を巻き戻しモードにする始末。お粗末な記録をご容赦願いたい。

 野呂川に架かる吊橋を渡り広河原山荘を過ぎ大樺沢の岸を登る。いよいよ北岳だと思い心が躍る。その逸る気持ちが速い歩調に現れ、早速CLからイエローカードが出される。落ち着いてゆっくり一歩一歩進む。また、途中お粗末なパッキングを直してもらう。歩を進めるうちに黄色、紫、白などの花弁をつけた花が点々と現れる。花の名前を教わるが、一向に頭に残らない。二俣の手前から雪渓に入る。今年は雪がかなり残っているとのこと。大樺沢上部を雪が埋め尽くしている。見事な雪渓。7月の半ばで雪を踏めるなど思いもしていなかった。30、40mほど雪面を登って二俣の分岐を白根お池へのトラバース道を行く。
 14時40分、白根お池のほとりにテントを設営。池の南側の北岳寄りほとりには残雪があり、雪の上にテントを設営しているパーティーがあり、暑いくらいの気候だが夜の冷えは大丈夫なのかなど余計な心配をする。白根お池小屋はきれいな建物でトイレは水洗、小屋の前には幾つものテーブルが用意され、早くも宴会をはじめている組がある。我々もテント代1人500円を払い、生ビールで小屋前のテーブルを囲み1日目の無事を祝う。更に500ml缶ビールをテントに持ち帰り第2ラウンド。野外での宴会、食事は初めての経験。時間の経過とともに眩しかった太陽が小太郎尾根の方向に沈みながら長い影を伸ばしあらゆる物を包み込む様は大自然の摂理を感じさせる。煌々と照る月の下、楽しい語らいを重ねる。夕食は「麻婆なす」。2日目に使う予定にしていたシメジは傷みが早いので使おうということで具沢山の「麻婆なす」となった。食事担当が食材にご苦労することに敬意を表しながらいただく。これがものすごくうまく、アルファー米一食分を完食する。
 8時頃就寝。シュラフで寝たが暑く寝苦しく夜中何回も目を覚ます。

7月20日(日)晴れ後曇り一時雨
 4時起床。朝食は卵雑炊。この時間、すでにヘッドランプをつけて登山道を登るパーティーが何組もある。二日目の当初計画は、二股−八本歯のコル−北岳であったが、大樺沢の雪渓はかなり長くアイゼンなしでは危険とのCL判断で、サブルートの一つである草すべりから北岳を目指すコースに変更。
 テントを撤収し白根お池を5時10分に出発。日の出はまだだが明るくヘッドランプをつけるほどではない。団体のご一行と一緒になり急坂を列をなして登る。日の出直前の東の山はオレンジ色に輝き、しばらくして白色の輝きとなりご来光を仰ぐことができた。登山道に沿って花が咲いているので花談義などしながら進む。急坂には結構石がありCLから落石をしないようにとの注意がある。慎重に歩を進めるが無意識のうちに石を転がしているかもしれない。
 草すべりの急登は花談義あり、大樺沢の雪渓を登る米粒のような登山者の確認や知人に会うなどしたのでまったく疲労感はなく尾根に出る。ただ、左耳が人口鼓膜なので気圧の変化にすぐには対応できず尾根手前から頭が少しふらつく。こんな時は歩く際に極力頭と目を動かさずにしていれば5分程度で体が調整してくれる。一度慣れてしまえば以後は問題ない。
 尾根を左にしばらく登ると肩の小屋。肩の小屋をすぎて急に開けた斜面に出る。すばらしいお花畑。斜面が黄色で埋め尽くされている。山の新たな魅力に接することができたことがうれしい。岩場を右に巻くようにして山頂に向かう。あっという間に山頂に着く。山頂は思っていたより広く、もっと切り立ったものというイメージがあったので最初は山頂とは意識できなかった。もっと先を行くのかと思ってうろうろしていたらCLから山頂だよと言われて慌てて三角点を確認したりする。3,192mの頂点に立ち遅まきながら感激がジワリと沸く。 天気がよく360度の展望が利き、これから向かう間ノ岳への稜線が美しく、また、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山が間近に見え地蔵岳のオベリスクがはっきり捉えることができる。遠くには槍、穂高連峰が見えるらしい。

 大休止の後、次の目的地、間ノ岳、農鳥小屋に向かう。雲がかかってきて空模様が怪しくなる。黄色、紫、白などが混在したお花畑が点在し目を楽しませてくれる。間ノ岳3,189mの頂上はたまたま雲が取れ、雲海に浮かぶ遠くの山々が美しく見える。ここから農鳥小屋が展望できるが、岩稜帯を約400m急降下した先にあるのでいくら下っても小屋の姿が大きくならない。やっと尾根に下りもう少しで小屋というところで雨が落ちてきた。レインウエアを着込み幕営地に駆け込む。15時20分農鳥小屋幕営地に到着。
 テントを設営したところで雨がやんだ。水は小屋で給水してくれたことがありがたい。一人1リットルまでは無料、追加は1リットル100円。水場まで往復30分と比べれば一部有料でも安いものだ。ビール350ml缶2本を買い2日目の無事を祝う。寒かったが外で宴会をしばらく行った後、食事の準備。2日目はカレースープ鍋。これも美味しくアルファー米一食分を完食。7時就寝。気温が低下していたのでシュラフで丁度よくぐっすり寝込む。

7月21日(月)晴れ
 3時起床。富士山の墨絵のような大きなシルエットが美しい。朝食はスープラーメン。美味しくいただく。テント撤収だが、自分の荷物整理にかかってしまいテント撤収の共同作業に最初から入らなかったことは大反省。
 農鳥小屋4時20分出発。3日目の先頭を任される。稜線をゆっくりと歩を進める。西農鳥岳へは岩稜を急登。頂上手前で巻き道を選択したため、頂上へはザックを下ろして数メートル戻る格好で岩場を登り3,050mに立つ。頂上はまことに狭く10人立てるかどうか。岩稜帯をいくつか下り、上りして3,025mの農鳥岳に着く。昨日も感じたが、岩場の下りの歩きがへたくそだ。バランスが悪い。
 農鳥岳からは下りのみで、特に大門沢下降点から奈良田まで約2,000mを急降下する。この下りは大変だと聞いて覚悟はしていたが、聞きしに勝るとは正にこのこと。針葉樹を急降下していると突然CLの「骸」との叫びで戻ってみると動物の頭骨がそっくり残っているではないか。よく見ると沢山の毛が地面に付着している。角は黒く牛のように後ろに反って曲がっているのでカモシカかもしれない。手を合わせ成仏を祈る。大門沢のごうごうと流れる音を聞きながら更に急降下すると大門沢小屋に着く。ここからは川原、大岩石、樹林帯、尾根など変化に富んだコースを行く。ルートの目印は、岩はペンキ、樹木はテープなどで記され意識して歩くが時々ルートを外れる。細かなルート選択に難点。丸木橋や吊橋をいくつかへっぴり腰で渡り車道に出る。ゲートを通過し、奈良田まで約1時間。いよいよゴールだ。奈良田に12時40分に着く。バス出発は13時30分なので温泉にはカラスの行水となったが、硫黄が匂うよい温泉に頑張った体を浸すと疲れが抜ける。
 1時間30分バスに揺られうとうとしていると身延駅に着く。駅前の食堂で打ち上げ。まず生ビールで乾杯。お互いの健闘を祝す。私は皆さんに感謝するのみ。16時14分発の普通電車で甲府駅に。車中でまた乾杯。甲府から新宿行きの特急は満席。指定席のデッキに陣取る。ここでも乾杯をしながら一路東京に向かう。


 初めての夏山縦走は素晴らしい山行となった。CL始め皆様に感謝したい。共同作業に一緒に入らないなど数々の反省点。これらは今後の糧にしたい。これからももっと勉強、鍛錬し、楽しい山行をしたいという思いを強くした白根三山でした。