奥秩父・一ノ瀬川 大常木谷

1997年7月20日()〜21日()
パーティ 大久保純、鈴木 操、武井優子、中村

 合宿に備えて水量の多い沢で泳いだり、徒渉したり、そしてビバーク装備を背負って遡行することを目的としてこの山行を組んでみた。

7月20日() 天候 晴れ
 前夜を三条新橋で過ごし、翌朝一ノ瀬林道から下降点まで車で入る。林道脇には駐車スペースもあるが、深夜の到着だと迷うことは確実なので三条新橋付近で一夜を明かすのが得策だろう。

 ガイドブックにしたがって一ノ瀬川に降りて行くが、途中左手のガレ場下に川原が見えたので懸垂を混じえて降りて行くことにする。何にも考えずにガイドブックの記述通り上流に向かうが30分ほど歩いても出合いに着かない。これはおかしいと言うことで振り出しに戻る。と、我々が降りてきた地点から50mほど下流が大常木谷の出合いだった。出合いには釣りをしながら遡行すると言う4名パーティーがいた。

 大常木谷もやや水量が多いようだ。しばらくは開けたゴーロであるが、青い空、白い雲それと周囲の緑とがマッチし、いかにも日本の夏!という雰囲気が気持ち良く、4人とも水の中をジャブジャブ進んで行く。しばらく行くと、急に谷は狭まり右に屈曲した地点に出る。大きな釜を持った8mの斜瀑だ。腰まで水に浸かって…、とあったがそんな水量ではなさそうだ。十分首まで浸かって泳ぎ滝の右側に取り付く。水から上がる一歩のスタンスがなくちょっと難しかったが快適だ。残りの3名も楽しそうに泳ぎ、後続してくる。

 五間の滝は水量も多く立派なので写真でも撮ろう、とファインダ-を覗いた瞬間から、私は右目の視力を失ってしまった。そう、コンタクトが落ちてしまったのだ。小一時間ほど武井さんにも手伝ってもらって探したのだが、とうとう見つからなかった。まあ、左目は見えるので安心ではあるが、念のため五間の滝はザイルを張ってもらい通過する。片目では距離感がつかめないので、何てことはない川原歩きでも足許が不安定でペースがはかどらず、この後皆に迷惑をかけてしまった。

 千苦の滝は左岸から大きく高巻き(途中のルンゼには、フィックスがあった)、相変わらず陽の当たらない谷を歩いていくと山女魚淵に着く。ヒレ君が泳いでいくが、水流が強くなかなか進まず苦労している。どうにか突破し後の者は張ってもらったザイルを腕で手繰るようにして通過した。真夏だというのに、全身びしょ濡れで、寒い。もう水の中には入りたくないなぁ…、と思っていると次ぎは早川淵で、再びお腹まで水に浸かって水中のスタンスを拾いながら左側をへつりで進む。

 不動の滝は水量多く直登できないので下のすだれ状の滝を登ってから、右岸を巻いた(本当は左岸を巻くらしい)。そろそろ御岳沢の出合いだから、ビバークの場所を探しながら歩きましょう、と独眼で左右探しながら歩く。すると、先行していたヒレ・鈴木両氏が素晴らしい場所を見つけてくれていた。そこには焚き火の跡があるのみならず、その周りに座席用の石が置いてあり、さらに大量の枯木まで集めてあるという素敵なところである。もちろん、テントを張る平らなスペースも十分にある。

 テントを張り、ビールを冷やし、焚き火を起こし楽しいビバークが始まったことは言うまでもない!

7月21日() 天候 高曇り

  昨日で核心部は終えているので気が楽だ。鈴木さんから貰った遡行図では主脈縦走路まで楽しい沢歩きができる、とあったので大常木林道には入らず上まで詰めることにする。たしかにきれいなナメ滝が続き、気持ち良い遡行が楽しめる。途中の15mの滝では水に入りたくない、ということで高巻いたら失敗し、嫌な懸垂をさせられ、またまた迷惑をかけてしまった。ごめんなさい。最後の二俣ではどちらに行くか迷ったが、沢床の低い本流を行く。ガレ場を慎重に詰めると上でヒレ君がザックを置いて寛いでいる。ヤブ漕ぎもなく縦走路に飛び出て遡行が終わった。振り返ってみると登攀的な要素は少ないものの、水量が豊富で泳ぎ・へつりを幾度となく強いられる、楽しい沢歩きをであった。

 後は、残ったビールで乾杯し、気持ちよく歩いてこの山行は終了するはずであったが、将監小屋の下で私は左足を犬に食いついかれてしまい、ちょっと痛い思いをしてから山行が終了した。

 その後、丹波山村でマキロンを買って傷口を消毒し、丹波山温泉「のめこい湯」に入ってから帰京した。

特記事項  M女史に「冷房がねぇ〜…」「夏には向かない車よね!」「体をナチュラルの状態に保ちたいなら …」等と数々の悪罵を一身に浴びたあのヒレヒレ車であったが、今年はその車内において「寒いか ら冷房を弱くして下さい。」と鈴木・武井両氏から声が2回も!かかったことをヒレヒレ車ならびにそ の所有者の名誉のため、ここに報告しておこう。

【おまけ】犬に食べられた左足は「ほっときゃ、治るよ!」と言って普段通りの生活をしていたが、そこからバイキ ンが入ったらしくなかなか治癒しませんでした。しかたなく8月7日に医者に行ったところ 「あーあー、 こんなになっちゃて…、すぐ来ればいいのに…。」「2週間はプールとか入っちゃダメ。」「えっ?川遊び?ダメダメ!そんなのもっとダメ!川のが雑菌とか多いんだから。」 と説教されてしまいました。おまけに破傷風の注射とか抗生物質の注射とか打たれ、しばらくは毎日来なさい、と言われ通院の日々を 送るはめになってしまいました。