新緑の大雲取谷遡行              人見 邦明

 日  1997年5月17日()〜18日()
メンバー 鈴木操、山城宗健、中村優、人見邦明

 
5月17() 天候 大雨のち曇り 新宿駅(22:00) ??? 日原林道路肩に幕営(24:00)

  夕刻都内に大雨警報が発令されたが、明日の晴天を確信して10時に新宿駅南口待ち合わせ。山城パパジェロが首都高を飛ばす。一般道に下りても高速道路。八王子から奥多摩。途中コンビニで食料を調達し日原林道に入る。空いているので狭い山道でも猛スピード。ドライバーの特異な性格か。雨は上がっている。路肩に空き地を見つけ幕営。同時に酒盛りが始まる。絹ごし豆腐にスプーンカットしそこに醤油をたらすと絶品の酒肴となる。今年初の入渓を思い控えめに飲む。こんな世界があるのだ。清流を汚してきた鈴木が「空に星が見えるよ。おやすみ」ムーミン谷のひとつのシーンのようだ。1時過ぎ就寝。

5月18 () 天候 快晴 入渓(8:10) ―― 大雲取谷出合(8:40) ―― 岩茸谷(9:40) ―― 
                   小雲取谷(10:30) ―― 終了点(12:15) ―― 昼食(13:00) ――
                   林道(13:05) ―― 車に戻る(14:15)
 3時頃から通過する車の音が聞こえる。6時起床。昨日とうって変わり晴天。朝食にラーメンを食べる。山城がいれてくれたコーヒーをごちそうになり今日の計画を話す。テントを撤収し、車はまたスプラッシュマウンテンの勢いで登りつめる。乗客には肩がこるドライブだ。通行止めのガードがあってホッとする。川端から借りた渓流靴で身支度。新緑快晴の車道を歩きだす。取り付き点が違っているようだ。入ったのは長沢谷で、一端下ることになる。今日は絶好の渓流日和。水ぬるみ緑あふれ心はずみ..、ところが鈴木と山城は地図と首っぴきでルートを捜す。

 額が汗ばむ頃めざす大雲取谷の出合を確認し一本入れる。心して登り始める。難しい登攀も深い釜もなく快適な遡行となる。昨日の雨で心配された水量も多くない。見上げるとブナの若葉が逆光に映えすがすがしい気分になる。いい気持ちで進むと手を滑らせ1メートル程の釜にドボーン。足が長いので助かったがそれでもBVDまでずぶ濡れになる。パンツまで濡れたらあとは雨上がりの子供、ピッチピチチャップチャプらんらんらん。JRは簡単なルートを行かずわざと滝に入り「シャワークライムじゃあ」と修行僧する。

 小雲取谷出合を過ぎるとS字峡谷。ここまで釣り人3名と鹿の死骸二つに会っただけ。切り立った岩の間(これをゴルジュというのだろう)を気合を入れて通過する。胸までつかるが、泳げない鈴木もビート板を使うほどではない。この際清流に汚水を混入させた男約一名。全身すぶぬれになると意気も上がる。次にあらわれた核心部8メートルの大滝も平気だ。初めてロープでビレイしてもらうと落ちついてクリアできる。JRは難しいほうの右滝をアタックする。先程の混入男のズボンの雫を含んだ水を頭からたっぷり浴びて、堂々のシャワークライム。この日のフィナーレを飾る。12時過ぎ終了点着。

 ハーネスを外し靴を脱ぎほっとする。遊んだ後の飯はうまい。満腹感に陶酔していた鈴木が倒木で滑ってステーン。お尻をいやというほどぶつけ、本日最大の事故。せせらぎの中で憩いの時。ここからヤブこぎの急登5分で大ダワ林道に出る。あふれる新緑の中を満ち足りた気持ちで下る。車に戻り着替えてさっぱり。楽しい沢歩きでした。

 4WDが再三飛び跳ねて奥多摩駅に戻る。乗客はのうのうとビールで乾杯。むっとした運転手は粗暴運転しようとするが日曜の渋滞。指導並びに運転ご苦労であると感謝しつつお客は買ったばかりのわさび漬けを肴にグビッ、あぁこりゃこりゃ。さらには渋滞ご苦労である、わしゃ満足しておるぞと得心しつつ夢心地。
 池袋西口にて解散6時過ぎ。