どういうわけだか、ウチの会には大酒呑みが矢鱈と集まってくるような気がする。いや、集まっている。これを書いている者からして大酒呑みなので人のことは言っちゃあいられないような気がするがそんなことはどうでもいい。いつでもどこでも呑めればいいのである。

 呑まない人にとっては当然重いだけでなくてもよい装備の筆頭であろうが、呑むものにとっては死活問題。山行の成否を左右する重大かつ必携の装備なのである。

 酒は液体なので当然重い。粉末酒というのもあるが一般には入手不可能で、手間がかかるしあまりうまくない(M君ごめん!)ので非常用にしかならないだろう。日本酒軽く見積もって一人一日5〜6合呑むとすると1日で約1kg、3泊4日も山に行こうとすればそれだけで2升強、4kgの重量が双肩にのしかかってくるのである。それではあまり合理的ではない。食糧・装備併せて10kgちょっとに4kgの重量が加わるとなるとちょっと考えてしまう。

 少しでも重量を減らすためにはどうすればよいか?それは呑まないのが一番である。そんなこたぁわかっちゃぁいるんですがね。明日への活力の源として食事の質より酒の量という輩が多いので仕方ない。

 とりあえずは度数の高いスピリッツ類にする。同量の酒でも度数5度程度のビールを持つより45度のウイスキーを持つ方が同量のアルコールを持ち上げるのに9分の1の量で済むという単純な計算が成り立つ。さらにアルコールは比重が水よりも軽いのでさらに軽くなる。

 ただウチの会で、酒は強けりゃ上の通りに軽くなると目論で、冬の劔でアルコール度数97%という東欧某国産のウォトカを持参したケースがあったが結局3人であっという間に空にしてしまい次の酒に手を出したという事例が存在する。ある程度の量も必要と言うことだろう。

 さらに呑む量自体を減らす方法も存在する。
 一つは早寝早起き。ランタンを山に持ち込むようになってから寝る時間が遅くなり、酒量が増えたように感じるのは私だけであろうか。ろーそくとヘッ電の明かりで呑んでいた頃に比べて若干酒量が増えたような…
 もう一つは飯で腹をいっぱいにしてから呑むことである。設営後の一杯、飯の準備をしながら腹が減っているときの一杯は格別なモノがあるだけになかなか難しいのである。ジフィーズ一袋の夕飯の後などは酒が旨くて仕方がないが、すき焼きで腹一杯になってしまうとあまり呑みたくなくなるので不思議なものである。ただし、すき焼き材料は重いこと甚だしい。材料として日本酒などを持っているといつの間にかなくなっていることがあるので注意が必要である。

 西丸震哉先生などは”薬局方アルコール”(エタノール、エチルアルコール)を山に持って行って呑むそうであるが一般の方には抵抗があるのではないか。といっても最近の無味乾燥なホワイトリカー類を呑んでいる人たちは割って呑む分にはあまり変わらないと思うのだが。ジュースや濃いめのお茶で割る分には焼酎とあまり変わらないような気がする。

 私は昔ウイスキーと消毒用エタノールを6:4で混合したものを愛用していたことがあった。

 また酒は重要な嗜好品でもあるので、重さと相談の上で好きな美味しい物を適量持っていくようにしたい。

ただ消毒用エタノールは決してそのまま口にしないように。割って呑むように。口がぼろぼろになってしまう。さらに工業用メタノール(メチルアルコール)は間違っても呑まないように。アルコールランプの燃料としてスーパーなどでも安く手軽に手に入るのだが、本来毒物なので昔薬局で買うときには印鑑を持って会に行った程の物である。これは呑むと生命に危険が及ぶ。酔うことは酔うそうであるが、敗戦後、物資不足からこれに手を出し、イッてしまったきり動かなくなったり、失明したり(目散るといったそうだ!)した酒呑みが大勢いるそうである。

と言っても酒より楽しいことがありゃ呑まなくてもいいかな〜

(H11.8)