利根川水系 楢俣川ススケ沢

【山行日】2013年9月20日~23日(前夜発2泊3日)

【メンバー】つりし(CL)、ハギ、コバ(記)

【行程】
9月20日 集合(21:00)-楢俣湖 林道ゲート着(0:00)
9月21日 林道ゲート(6:30)-狩小屋沢出合(10:00)-幕営地(14:30)
9月22日 幕営地(7:30)-ススケ沢出合(8:20)-ススケ峰の南西尾根1800M地点(12:30)-奥ススケ沢源頭部(13:00)-沢種沢合流点(15:00)-幕営地(17:30)
9月23日 幕営地(8:00)-狩小屋沢出合(11:30)-林道ゲート(15:30)

【記録】

9月21日(晴れ)

林道ゲートを6:30発。他に2パーティが前後して出発。楢俣川本流での釣りとヘイヅル沢とのこと。

ネットの記録によると林道歩きは3時間とのことで少々心配していたが、景色に変化がありなかなか飽きさせない。途中山葡萄を発見。少し収穫してしゃぶりながら歩く。時間は余計にかかったが狩小屋沢出合手前の開けた場所に到着。

沢装備を付け、踏み跡をたどった先で狩小屋沢に突き当たり入渓する。入渓点には相当古いがロープが張られていた。

楢俣川本流入渓
楢俣川本流入渓
ブナの緑とエメラルドグリーンの深い流れ
ブナの緑とエメラルドグリーンの深い流れ

入渓点から狩小屋沢を下るとすぐに楢俣川の本流と合流する。狩小屋沢は沢幅も狭く暗い感じだったが、本流に出た途端視界が開け、明るくて広い沢が出現する。水量も多く、透明度が高く、深いところでは濃いエメラルドグリーンが美しい。本流に入ってすぐは広い河原歩きとなるが、だんだん両岸が切れ上がっていきゴルジュと滝が連続するようになる。ゴルジュのヘツリも滝の壁も十分なスタンスとホールドがあってどれも比較的簡単に通過できる。どの滝もスケール感がありとにかく楽しい。

明るい滝が連続する
明るい滝が連続する
癒される感じ
癒される感じ
右から日崎沢が滝となって流れ込む
右から日崎沢が滝となって流れ込む

出合に滝を掛ける日崎沢を右手に通過した辺りでそろそろ幕営地を探そうということになる。しばらく行ったあたりでつりしリーダーが適地を発見。テントを張ることにする。テント場はちょうどいい大きさで、人が多く利用しているようで焚火跡もあったがゴミもなくとても快適であった。

つりしさんとハギさんは近くでイワナを3匹も吊り上げる大漁ぶり。残念ながらキノコにはまだ早く収穫はならなかったが、大満足の夕食となった。この日のイワナはムニエル、なめろう、胃と皮のソテー、卵と白子の醤油漬け。ご馳走様でした。

いかにもイワナがいそうな淵
いかにもイワナがいそうな淵
イワナ3本ゲット。一本は尺越えの鼻曲り
イワナ3本ゲット。一本は尺越えの鼻曲り
快適なテン場
快適なテン場

9月22日(晴れのち曇り)

予報では曇りベースであったが朝から晴れ。ススケ沢を遡行し、うまくいけばススケ峰と幻の湿原にたどり着けるかも。ということで7時半に出発。朝のさわやかな空気の中を1時間くらいでススケ沢出合に到着。ススケ沢出合は反対からも小沢が流入してミニ十字峡を形成していてわかりやすい。実はこのススケ沢、遡行記録は多くあるものの、国土地理院の地形図にもその名はなく、いったいどの沢がそうなのか現地に着くまで実のところ不明であった。行ってみると地形図に記載のある南沢というのがそれであった。

ススケ沢出合
ススケ沢出合
いきなり素敵なナメ沢
いきなり素敵なナメ沢
最初の20M滝
最初の20M滝

ススケ沢を遡行し始めるとすぐにここもやはり楢俣川であることを実感させられる。沢幅は狭まるものの白い岩の明るいゴルジュ地形にエメラルドグリーンの澄み切った流れ、次から次へと現れる個性的な滝。うっとりとするような景観が続く。ススケ沢に入って20分ほどで20m弱くらいの滝が現れる。これは右岸のスロープ状の岩を上がり滝の中間部あたりに取りつくと水線脇を難なく登れる。さらに20分ほどでススケ沢核心部大滝が現れる。地形図にある滝マーク?20mは超えていると思われるので、これを越えたら40メートルしかロープの無い僕らはもうこの沢を引き返すことはできないが、時間もまだ9時過ぎなので詰めあげることを決意する。見たところ直登は不可能なため左岸のスラブを上がって巻くことにする。滝の落ち口上部に向かってトラバースする草付の急傾斜が滑りやすく泥も剥がれ易そうで緊張するが、20分ほどでどうにか切り抜ける。

奥に見えるのが大滝。右のスラブを巻きました
奥に見えるのが大滝。右のスラブを巻きました
大滝の落ち口へ下降
大滝の落ち口へ下降
大滝上部から
大滝上部から

この後も大小の滝やゴルジュが連続し楽しく遡行を続ける。10時15分ごろ1470M付近の二俣到着。右に行けば至仏岳と連なる稜線に出てススケ峰にも確実に登れるルート。左に行くと記録がないのでどうなっているかは不明だが、下降に予定している沢の源頭付近に突き上げるルート。もし源頭部が草原ならススケ峰の湿原を望める可能性も残る。悩んだ結果時間と下降を優先する左俣ルートを選択。

ゴルジュ帯
ゴルジュ帯
奥の二股 右に行くと至仏に続く稜線
奥の二股 右に行くと至仏に続く稜線
いつまでも滝が続く
いつまでも滝が続く
なんだか巨人になったみたいな
なんだか巨人になったみたいな
最後の最後まで滝が
最後の最後まで滝が

さすがに源頭の様相となってきて両側から藪が迫ってくる。にも拘わらずところどころに滝が出現。最後の最後まで楽しませてくれるのだ。いよいよ水流もなくなったあたりで一瞬草地の上に顔を出す。振り返った眺めは素晴らしく、充実感一杯。だがここからは笹と灌木の藪漕ぎ。1時間ほどで尾根線上に到着するもやはり藪の中で眺望はなく、時間も12時を過ぎていたためススケ峰はあきらめる。念のためGPSで現在地を確認し、目標となる下降沢(奥ススケ沢?)へのルートを確認する。尾根を越え下降気味にトラバースすると割と簡単に沢筋に出ることができた。

一旦草原に出ます
一旦草原に出ます
藪を漕いで
藪を漕いで
奥ススケ沢の下降を開始
奥ススケ沢の下降を開始

奥ススケ沢は下降に適した沢で、一か所懸垂下降をしたが、他は多少大きな滝も階段状に歩いて降りることができて快適だった。16時頃本流と合流し17時半ごろテン場着。充実した1日であった。

一か所懸垂で降りました
一か所懸垂で降りました
奥ススケもなかなか綺麗なのです
奥ススケもなかなか綺麗なのです
樋状の流れが直角に曲がってます
樋状の流れが直角に曲がってます
どの滝も大概簡単に降りれます
どの滝も大概簡単に降りれます

9月23日(雨)

深夜から雨。しとしと降りで増水の心配をするようなものではない。

朝もゆっくり起きて8時ごろの出発。1日目とは逆に楢俣川本流を下り狩小屋沢を目指す。雨は降っているが快適。1か所日崎沢の出合の滝で懸垂下降した以外は問題なく、予定よりも早い11時半ごろ狩小屋沢から林道に上がることができた。林道はなぜか帰りに登りが多く、1日目と違いだんだん飽きてくる。長い林道であった。

さて帰りましょう
さて帰りましょう
日崎沢出合 帰りは懸垂
日崎沢出合 帰りは懸垂
ダムみたいな滝
ダムみたいな滝
狩小屋沢に到着
狩小屋沢に到着

楢俣川は明るくブナの森に囲まれた素敵な沢でした。大きな滝も登りやすく、美しいゴルジュや淵、緊張感・高度感のある滝もあり、藪漕ぎもほどほど。イワナも魚影が濃く、季節になればキノコや山菜も期待できる。ルートもたくさんあるようなのでぜひ何度も訪れたいと感じた沢でした。