奥利根・利根川本谷

日程:2016年8月5日(金)~8月9日(火)
メンバー:つりし(L),ハギ(食計),あずさ(記)

コースタイム
1日目
22:30湯檜曽駅
2日目
05:00湯檜曽駅-05:20民宿やぐら-06:30奥利根湖出発-06:50下船(割沢手前)-08:00雨量観測所-09:50巻淵-14:35滝ヶ倉沢出合
3日目
06:00幕営地(滝ヶ倉沢先)出発-08:20定吉沢出合-09:35魚止滝-13:30大利根滝-15:20ハト平-16:45佐市平(西小沢手前)
4日目
06:15佐市平出発-09:40人参滝-10:50深山滝-12:10赤沢滝-12:35水上滝-14:15利根川水源碑-18:50十字峡

 

元々は、夏合宿ということで初級者も連れて東北の沢へ…という予定だったが、今年の沢希望者はこの3人のみ。つりしLの提案で、雪も水も少ない今年なら!ということで利根川本谷への挑戦が決まった。
日程は、出発前日に発生した台風5号により8日には十字峡に抜けるのが先決という話になり、エスケープを考えつつの沢中2泊3日の山行となった。

【1日目/8月5日】
19:20 つりしLの車でハギさんと私をピックアップし、東京を出発する。
22:30 湯檜曽駅前着。今夜はここでビバークとなる。

【2日目/8月6日】
04:00 起床
05:00 湯檜曽駅出発

05:20 民宿やぐらの駐車場着。
やぐらのご主人と挨拶をする。私たちの他には、男性二人組の1パーティのみ入渓するようだ。

06:15 奥利根湖到着
ご主人の車で奥利根湖こと矢木沢ダムへと向かった。
先々週の奈良俣ダムと同様、水位が低い様子(というか、それを狙って来たのだが)。
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06:30 管理小屋に計画書を提出し、ボートでいざ出発!
私たち沢登りのパーティ以外にも、釣り人さんが何パーティか船で湖へ入るようだ。
奥利根マリンの高柳さんらしき方とも少しお話をした。曰く、「今年はオイックイの雪渓も無いだろうな。」…!本当にそうだと大分遡行が楽になりそうだ。

06:50 下船
割沢少し手前で大量の倒木が浮いており、水位も低くなる。
バックウォーターに入ったようなので、ここから入渓となる。

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倒木の湖面を必死に漕ぐつりしL(ハギさん撮影)。カヌー経験者の腕が鳴ります!と、頑張ったのにその先の水位が低く、結局引き返すことに…。
入渓点は、干上がっていた期間が長いせいか草原のような状態に。

08:00 雨量観測所
水線通しにひざ下の徒渉を繰り返し、シッケイガマワシ手前の雨量観測所まで入渓から1時間弱。

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▲シッケイガマワシの終わりを告げる、又右衛門ヶ淵。
入ってみるも、結局右岸を巻く。

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▲エメラルドグリーンの水流が美しい。

09:50 巻き淵
暗く洞窟の様に穿たれた右壁に取付いてみるも、突破は困難。
少し戻って左岸を巻く。
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10:50 越後沢出合
幕営適地とされている出合左岸には、水溜りが出来ていてとても適地には見えない。

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▲まるで鏡面のように静かな流れ。剣ヶ倉土合へと足を踏み入れる。
例のヒトマタギは明らかに男性サイズの幅で、つりしさんのみ記念撮影。私とハギさんは、絶対落ちる!と遠慮させて頂いた。

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▲剣ヶ倉土合終盤の淵。私がトップで泳いでみるも、意外と水流が強く進めない(つりしさん撮影)。すると、後ろからつりしさんが泳いで来る。二人でもがいているうちに、つりしさんの「足着いた!着いたよ!」との声。やっと先に進める!

14:35 滝ヶ倉沢出合
そろそろ、本日の幕営地を探す時間だ。予定では滝ヶ倉沢出合のテンバ、ということだったが中々見つからない。仕方ないので、少し先の砂地(というより砂利)を幕営地とする。高さは無いが、増水の心配も少ない天気なので平坦で快適そうなここに決定!
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16:00 天気図を取る
台風が近付いているので、気象通報を聞くことにする。しかし、周波数を合わせてもなかなかNHK第二放送に繋がらない。周波数と格闘すること数分、やっと繋がったと思えば、聞こえてきた声は「ルドナヤプリスタニは~」。日本域は終わった後だった。その後の漁業気象で、台風は若干遅れているようだということだけ分かった。

今日の夕飯は、ハギさんの工夫が凝らされた高野豆腐そぼろ丼。
これがなかなか美味しい!軽量化をしつつもお腹を満たすのは至難の業なので、ハギさんには感謝しかない。

20:00 就寝
疲れもあり、今日のところは早めに床に就いた。

【3日目/8月7日】
04:00 起床
06:00 出発
今日は、天気のことを考えると大利根滝を越えて西小沢手前の佐市平まで行かねばならない。オイックイの雪渓も心配だ。
そう思っていたのだが、オイックイ入口の下北沢出合を過ぎても、水温は温いまま。もしかして、本当に雪渓が無いのでは…?

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▲雪渓の無いオイックイを行く。
途中、一緒に入渓したパーティの出発準備に出会ったり沢床まで下りてきたカモシカとご対面したりなどのイベントを交えつつも、雪渓とは遭遇しなかった。唯一支流に残る雪の残骸だけが、そこにスノーブリッジが存在していたことを物語っている。

08:20 定吉沢出合
先には、暗いゴルジュと滝が見える。最初の滝は高巻き、次の滝はつりしLが空身で取りつき、細かいホールドを拾いながら突破。
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後から来た二人は高巻くつもりだったようだが、つりしさんの登攀を見て登る気になったようだ。しかしこの二人の御仁、足も速くてロープも出さないので、今日も抜かれた後は一度も出会わなかった。

09:35 魚止滝
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▲ここは右岸から巻き、途中の灌木にスリングを残置して懸垂。
今回は、残置用の捨てスリングが大いに役立った。

13:30 大利根滝
魚止滝からいくつもの滝を越え、やっとこさ大利根滝にたどり着いた。多くの記録で快適だのピッチグレードⅢだの言われているが、果たして。

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▲トップで右壁に取付くつりしL(ハギさん撮影)。
なんだか岩質がフェルトと相性が悪いようで、緊張の時が続く。これだけ登られているのだから残置もあるかと思われたが、それもほとんど見られない。
結局、よく写真で見られる「落ち口へトラバースするルート」ではなく、「直上して灌木帯へ入るルート」を取った。
登った感想は、「やっぱり5級に行くような人の評価は私たちと感覚が違う。」ということだった。この先、もっと難しい滝ばかりになるのだろうか…。

15:20 ハト平
大滝に時間を取られ、気付けばこんな時間に。明日のことを考えると、西小沢まで急がなければならない。

16:45 佐市平
途中1回の高巻きを交えつつも、お目当ての幕営地へとたどり着く。
佐市平こと西小沢手前の幕営地は、噂通り3張近く張ることの出来る大きく平坦なテンバだった。そのテンバより手前にも、1張のみの場所と2張張れる場所の2ヵ所が見つかった。どれも、ハト平と同じくウドやシダの藪の中にあり、焚火をしなければ虫にたかられそうだ。私たちは虫を忌避して、佐市平の外にある砂地にタープを張った。

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▲今晩は最後の幕営となるだろうということで、持っていたおつまみを大放出。前回の集会でイシツカミさんから頂いていた大きなにんにくもその一つ。
晩御飯は、大豆ミートを使ったカレーでこれまた美味だが、おつまみ類が多く早々に満腹に。カレーは朝ごはんに持ち越しとなった。

22:00 就寝

【4日目/8月8日】
04:00 起床
朝食は、前日のカレーを使ってカレークリームパスタ。カレーが程よくマイルドになっていて、朝からリッチな気分に。

06:15 出発
少し先で、またも二人組先行者の朝仕度にばったりと鉢会う。しかし、この後の滝で私たちがロープを出している隙に反対側の壁からの-ロープであっさり抜かしていってしまった。ボルダ―チックな登攀で、軽やかな二人だった。

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▲まだ日も差していないのに、朝っぱらから泳がされたり。
この時は、日があたらなくて寒いということばかり考えていたので、この後の悲劇など知るべくもないのである…。

そろそろ人参滝であろう、という4m位の滝で、悲劇は(主に私にだけ)起こった。滝の左壁を登っていたところ、体重移動を誤って滑り落ちた上、壁に左膝を思い切り打ちつけてしまったのだ。不幸中の幸いは、ロープを出して頂いていたことだろうか。これ程盛大に落ちたのは人生初だった。もう少しクライミングを練習します…。
それにしても、左膝がすごく痛い。その後のトイ状滝の高巻きでも、膝立ちをした時に凄まじい激痛に見舞われた。その上、しっかり回収したと思っていたハーケンを一つ失くしてしまった。持ち主のつりしさん、ごめんなさい!前日の高巻き中にもタイブロックを滝壺の餌にしてしまっていたので、これで紛失物は2つ目だった。不注意極まりない…。

09:40 人参滝
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2つの失くし物と膝の痛みにシクシクしていると、とうとう人参滝にまで来てしまった。今日の核心部その1だ。ここは右のリッジから高巻くが、あまり良くなさそうなので、つりしLがトップでリードする。やはり脆くなっているようで、リッジ上から浮き石を滝つぼに落とす音がする。

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▲高巻き後に見つけたキイチゴ。少しすっぱかった。

10:50 深山滝
今日の核心その2。3段(見えないが4段目?もあり)の美しい滝だが、所々脆くなっているので、注意が必要そうだ。ここもつりしさんがリード。
今回の山行はほぼ全ての核心でつりしさんにリードをして頂き、本当に頭の下がる思いだ…。私もいつかは負担を減らす手伝いが出来るようにならねば!
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▲深山滝をリードするつりしさん(ハギさん撮影)。2段目と3段目の間が核心。

12:10 赤沢滝
名前の通り、赤茶色でぬめった滝だが、一見ホールドは良さそうに見える。
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▲ここは、つりしさんに勧められてハギさんがリード。登りやすいが、ぬめりが何だか怖い滝だった。ロープを出したのは一番下の段のみ。

12:35 水上滝
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ここが、最後にロープを出した滝となった。やはりつりしLがリードし、右壁から突破。その上にある苔のついた滝は、思い思いの場所から登り、これが最後の滝となった。

最後のツメは、水が無くならないうちにおいしい利根川の天然水(本物!)を汲みながら進む。そろそろ三角雪田かなぁというところで、なんだか緑が美しい草原が見え始めた。あれはもしや…。
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やはりと言うかなんと言うか、三角雪田も全く雪がありませんでした!!

そして、振り返ると今まで遡行してきた利根川の谷筋と越後の山々が見える。2泊3日の急ぎ足だったが、長い道のりだった。
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御花畑も美しく、3人で谷筋をバックに何枚か記念撮影。

14:15 利根川水源碑
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少しだけ笹薮を漕ぎ登山道に出て歩くと、利根川水源碑が見えてくる。
ここでも記念撮影。
丹後山までの稜線は、笹が美しい快適な道だった。
丹後山避難小屋にはワンダーフォーゲル部の学生が10人近く集まっていて、今夜は避難小屋に泊り、明日からは藪漕ぎで巻機山方面へ行くそうだ。私たちは、十字峡方面へと下山する。

18:50 十字峡
下山途中、私の失態で足をくじいてしまい、つりしさんがタクシーと合流するために先に下山して下さった。私は、ハギさんのストックを貸してもらいながらなんとか林道まで下りることが出来た。最後の最後に、慢心してしまったのかもしれない…。
林道を、メジロアブにたかられながら40分ほど歩くと、タクシーと合流したつりしさんが私たちを迎えに来てくれていた。やっと終わったのだ。
その後は五十沢の素泊まり宿に宿泊し、翌日にはデポした車を回収して帰京した。宿の女将さんは気の良い人で、旅の疲れも癒された。

北稜に入会して2年とちょっと、まだまだひよっこの私はあまりお役に立てませんでしたが、利根川攻略という大きな山行に同行することが出来て、先輩方には感謝が尽きません。特に、今回リーダーを務め、車から登攀までお世話になりきりだったつりしさん、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。もう少しでも遡行に貢献できるよう、クライミングもちゃんとやらなければなぁ…と、改めて感じる山行でした…。
ともあれ、雪渓の無い利根川をある意味完全遡行したこの思い出は、一生忘れることの無いものとなると思います。お二人とも、ありがとうございました!

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